最後に伝えたいこと
これまでターナー症候群のことについて記載しました。
合併症の多さに不安になりましたか?
簡単にはお母さんになれないことに失望しましたか?
どれだけ前向きに考えてとアドバイスしたところで、あなたの生まれ持ったその体質を私達が背負うことはできません。
おそらく他の人とはちょっとだけ違う人生を歩むことになるでしょう。
皆と同じの学校に通っても、皆と同じ会社で働いていても、心のどこかで孤独を味合うこともあるかもしれません。もしかしたら友達にさえもその胸の内を打ち明けられないかもしれません。
適齢期になれば、普通の女性である「対岸の彼女たち」を羨ましく感じることでしょう。隣の芝生がとても青くみえるはずです。
それでも、あなたの人生はあなたのものです。誰かと比べてばかりの人生はとても窮屈でしんどいことです。
あなたは自分のものを人に譲りあえるとっても優しい心を持っています。不器用だけど、純粋で、人として信頼できる価値のある人間です。
漫画家の西原理恵子さんが言っていました。「最下位の人間に勝ち目なんてないと思う?でもね、最下位の人間には最下位の戦い方ってもんがあるんだよ」と。
彼女の絵は決してうまくはありませんが、漫画のみならず人生にまつわるエッセイなどを書いて活躍されています。
別にターナー症だから最下位というわけではないけど、対岸の彼女たちとはやはり違う部分があります。彼女たちが簡単にできることが、その体質のせいでうまくいかないこともあるかと思います。
それでもその体質とうまく付き合いながら生きる方法もあります。ターナー症候群にはターナー症候群なりの生き方があるはずです。SNSで華やかな生活を見せ付けている彼女たちの人生も意外と早く過ぎていきます。対岸の彼女たちなんて意識的に無視すればいいんです。
・・・それでも、それでも、しんどい時はあると思います。そんな時に父や母ができることは限られます。
だからこれ以上余計なことは言いません。だけど、本当に辛い時に、聞いて欲しい曲があります。
満島ひかりさんが歌う「ファイト!」という曲です。平成生まれの趣味には合わないかもしれないけど、心に響くものは感じられるはずです。
奇跡的に生まれてきて、できることの限界を知り、世間の風に晒され、対岸の彼女達を横目に、それでも逞しく生きていくターナー女性のための応援ソングに聞こえてなりません。
どうか、どうか、どうか、あなたの人生が価値あるものだと、あなた自身が思ってくれるように願っています。
暗い水の流れに打たれながら 魚たちのぼってゆく
光っているのは 傷ついてはがれかけた鱗がゆれるから
いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね
やせこけて そんなにやせこけて魚たちのぼってゆく......
ファイト!
闘う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう
ファイト!
冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ