
10年前の出来事です。
妻のお腹のなかには、私達夫婦にとっては初めてとなる待望の赤ちゃんが宿っていました。妊娠中はひどい悪阻に苦しみながらも、第一子の誕生を待ちわびる日々を過ごしていました。
しかしながら、超音波検査で胎児の首もとに浮腫が見つかってから生活が一変しました。その後の精密検査で告げられたのは「ターナー症候群」という聞き慣れない言葉でした。
突然の告知に意識が遠のくなか、医師は説明を続けます。この検査で陽性反応だった場合、ほとんどの方は産まない決断をします、と。
その日を境に、私はターナー症候群について多くの情報を集めるようになりました。生まれてくる娘のことをもっと知りたい、どんな困難が待っていて、どんな人生を送るのか。.....必死でした。
しかし情報を集めれば集めるほど頭の中は混乱し、不安は増すばかり。それでも、いいことも悪いこともひっくるめて正しい情報を知りたいと思っていました。
あれから10年、すっかり普通の生活を送っている娘の姿にすっかり安堵し、再び平穏な日々を送っています。しかし、いつかの日か娘にターナー症候群のことを詳しく教えなければなりません。できるだけわかりやすく、しかも正確に。
そして、娘が自分自身のことを知りこれからの生活の参考にして欲しいと思い、これまで集めた情報を整理しました。
また、娘以外にもターナー症候群の告知を受け混乱しているご本人やご両親もいると思います。その方々にもできれば知っておいたほうがよい情報を載せています。
必ずしも安心できる内容ばかりではありませんが、正確な情報を知ることは、適切な対応をするためには避けては通れないことです。たとえ一時的に苦しむことになったしても、です。
私達もこれまで迷いがなかったというと嘘になります。本当に育てられるのだろうか、生まれてきて幸せな人生を送れるのだろうか、と自問自答していました。
これからは娘も含めて家族でその答えを探していくことになるでしょう。それはそれで仕方のないことだと思っています。いいことも悪いことも含めて、生きていくのが人生なのでしょうから。
そんなことを考えながらデータ(書籍、医学書、冊子を参照)を取りまとめました。同じような境遇の方々のお役に立てれば幸いです。