※発生頻度は、調査によって結果が異なりますので、あくまで目安です。
※自己判断はせず、必ず専門医にご相談ください。
成長ホルモン
【低身長の原因】
X染色体欠損に伴う遺伝子の異常、骨の異常に欠かせない軟骨細胞の異常などが相互に絡み合っていると推測されていますが、詳しい仕組みはまだ解っていません。
【治療開始年齢】
低年齢だと治療(注射)を我慢できないという心配もあるので、一概には言えませんが、遅くとも5~6歳から治療を開始すべきという考えが一般的です。
ー2SDを大きく下回っている場合や小学生以降にターナー症候群と診断された場合は、なるべく早く治療を開始した方がよいです。
【治療方法】
成長ホルモンは内服しても効果がないので、毎日皮下注射をします。親や本人による在宅自己注射が認められています。
親が注射するときはおしりに、本人がやる場合は太ももの前面の中央部分に行います。毎日少しずつ場所を変えることが大切です。同じ箇所だと、皮下脂肪が萎縮して凹むことがあります。
就寝前に注射すると血液中の成長ホルモンは自然の分泌パターンに一番近くなるといわれています。
(父の声:初めて注射する時はドキドキしましたが、毎日のことなので習慣化されれば何てことないです。たまに痛いときがあるようですが.........)
【治療効果】
臨床試験結果によると、治療前に年間3.4~4.2㎝の身長の伸びが、治療1年目には5.2~6.0㎝に増加したと報告されています。
2年目には4.1~4.5㎝とやや鈍化しますが、治療前よりも効果があり、核型に関係なく身長を伸ばす効果がありました。
治療後の平均最終身長は150㎝近くなってきています。1980年代生まれの成人ターナー症候群女性の平均身長は147.7㎝、1990年代生まれでは149.7㎝という報告があります。年代による平均身長差は、成長ホルモン補充療法開始年齢に差(12.15歳 ⇒ 9.42歳)があるためと考えられています。
伸びが落ちてきた場合、蛋白同化ホルモンを併用することで最終身長の改善に有効という報告もあります。ただし、男性化(ひげ、声の低下など)や骨年齢促進する副作用が懸念されるので、積極的には行われてはいないようです。
脚延長の手術(イリザロフ法)を受ければ身長を20~25㎝伸ばすことも可能ですが、身体にも精神的にも負担が大きいことに考慮が必要です。
(母の声:できれば150㎝まで伸びて欲しい!!)
【副作用】
もともと身体の中にある物質なので、適切に使えば副作用が少ないことがわかっています。
比較的重要なのが股関節の痛みです。「大腿骨頭(だいたいこっとう)すべり症」という病気になることがあります。アメリカの例では0.2%が大腿骨頭すべり症という報告があります。
また、成長が盛んな時期に背骨が左右に蛇行する異常である「側彎症(そくわんしょう)」もみられます。
他には、成長ホルモンが血糖値をあげる作用がありますが、治療中の糖尿病の発生率はきわめて低く、普通と変わらないという報告もあります。
白血病の発症率が高いという統計が発表されたことがありましたが、現在で一般の人と差が無く、直接の因果関係はないと考えられています。
(父の声:何か異変を感じた場合は、すぐに専門医に相談してください。)
【治療費】
1999年11月より、成長ホルモン分泌不全の有無にかかわらず、成長ホルモン治療が保険適用となっています。
また、小児慢性特定疾病医療費助成制度により公費での治療が受けられます。
さらに自治体の小児医療補助制度(東京だとマル乳・マル子)で自己負担が軽減されることがあります。
(父の声:医療制度のおかげで経済的な心配をすることなく治療ができています。ご尽力してくださった関係者や社会に感謝です。)
【使用中止時期】
骨の成熟によって次第に伸びは減っていくので、たとえば年間1㎝しか伸びなくなったら、それ以上は治療を続けてもほとんど効果がなくなるようです。
また、手のX線写真で骨年齢が15歳を超えている場合も、ほとんど伸びが期待できないようです。
小児慢性特定疾病医療費助成制度は145.4㎝に達するか、年間の伸びが1㎝未満であった場合に打ち切られますが、それ以後は保険診療で高額療養費制度を利用し、治療を続けることは可能です。
(父の声:ホンネを言うと、150㎝になるまで助成があると助かるのですが.........)