はじめに伝えたいこと
「ターナー症候群」
初めてその言葉を聞いたとき、あなたはびっくりしたことでしょう。
きっと低身長や、二次性徴が自然には起きにくいなどの症状を知り、悲しい気持ちになったかもしれません。
女児2000~2500人に1人という割合なのに、なんで自分なの!!!と、父や母、もしかしたら神様さえも恨んでいるかもしれません。
でも、あなたのこの体質は偶然に起こったもので、父や母が原因となったわけではなく、ましては自分のせいではありません。
生殖細胞(精子や卵子)の形成時や、受精卵となって間もない時に、偶然に染色体がうまくできなかったことに由来するものです。
そうしたことは決して珍しいことではなく、生殖細胞や受精卵の段階ではかなり高い割合で起こっています。例えば卵子の場合、25歳の60%、35歳の75%、40代半ばの85~90%に染色体に異常があると言われています。
受精卵の染色体に欠損がある場合は、細胞分裂がうまくいかなかったり、子宮に着床できなかったり、十分に成長できなかったりして、残念ながらほとんどこの世に生を受けることができません。
そんな中、あなたを含めたターナー症候群の子達は、相当な困難な状況を乗り越えて生を受けました。相当タフでがんばり屋なんですね。
確かに、何事も無く普通に生まれてくる子達と共に生活をしていくわけなので、彼女たちが簡単にできることが自分(達)にはできないこともあるでしょう。それを歯がゆく思うかもしれません。でもそこで考えて下さい。
なんで2500人の1人になってしまったんだと悲観しながら生きていくのか、相当低い確率(生殖細胞の段階から考えると2500分の1どころではなく、もっと低い確率)で奇跡的に生まれてこれたことに感謝しながら人生を歩んでいくのかを。
どのように認識し、解釈して、どちらを選択するかはあなたの自由です。
幸いにも医学の発達と医療制度のおかげで、日常生活に支障がないくらいに成長できますし、あなたが望めば卵子提供や養子を迎え入れることでお母さんになることもできます。一般的ではないことかもしれませんが、全てはあなたの考え方次第です。
そんなのは気休めで、普通じゃない事には変わりないって思うかもしれません。なんで自分(達)だけ、辛いおもいをしなければならないんだって怒るかもしれません。
それでも、少し冷静になったときに、もう一度考えて欲しいのです。自分の人生をどう生きるのかを。
ターナー症候群であることを恨んで生きるのか、ターナー症候群を自分の一部として受け入れて生きていくのか。
人生は一度きりです。
はじめは難しいかもしれません。誰かと比べてしまう気持ちも分かります。劣等感にさいなまれるかもしれません。ポジティブに解釈するには時間が掛かることでしょう。
だけど私は、あなたが小さな細胞だった頃から抱えているその体質を、あなた自身が受け入れ、前向きに人生を歩む方を選択することを信じて疑いません。
このサイトが、あなたの人生に深く関わる「ターナー症候群」というものを知る手助けになってくれればと思ってます。
私ができるほんのささいなことですが、あなたの役に立って欲しいと願っています。