※多くの特徴を網羅していますが、個人差が大きく、全て当てはまるわけではありません。実際はそれぞれの人がその一部を持っているに過ぎません。
※これらの特徴は個性であり、疾患とは違いほとんどの場合、治療を必要としません。
※発生頻度は、調査によって結果が異なりますので、あくまで目安です。
※気になることは自己判断はせず、必ず専門医にご相談ください。
身体の特徴
【低身長(治療をしない場合)】
生後6ヶ月~2歳6ヶ月までは-2SD(学年で2番目に小さい程度)よりやや低い程度で成長しますが、それ以後徐々に平均との差が大きくなります。5歳以上のターナー症候群の95%に明らかな低身長がみられます。
治療をしなかった場合の最終身長の平均は139.1㎝(-3.4SD)です。ただし両親の身長などの影響を受けるため、個人差があります。
思春期の自然発来の有無による最終身長の差はありません。また、母親由来のX染色体を持つ場合と、父親由来のX染色体を持つ場合にも、最終身長に差はありません。
低身長の発生頻度は
45,X=97~100%
45,X/46,XX=75%
(父の声:以前は治療がされずに確かに低身長でしたが、今は高用量の成長ホルモン投与ができるようになったため、だいぶ改善されています。詳しくは「成長ホルモン」のページを見てください。)
【肥満】
肥満度は3~6歳までは0%、13歳頃には20%、16歳頃には約38%にまで達しますが、成人以降の肥満の増加はみられません。
(父の声:糖尿病予防のためにも、運動の習慣が大事です。)
【二次性徴の不調(治療をしない場合)】
45,Xの3~10%に、45,X/46,XXの12~40%に初経(平均年齢は12.8歳)が発来しますが、周期的に月経がみられるのはわずか1%しかいません。また、初経が発来した場合でも、平均すると30歳頃に閉経します。
45,Xの5%に、45,X/46,XXの18%に乳房発達の徴候がある程度みられますが、通常、発達が思春期終了まで続くことはありません。
二次性徴の発現の有無は、幼少期に判別不可能です。
最終的にはほとんどの方が女性ホルモンによる治療が必要です。
(母の声:二次性徴については、女性ホルモンを投与することで、女性らしい体つきになれるし、月経も引き起こすことが可能です。詳しくは「女性ホルモン」のページを見てください。)
【翼状頸(よくじょうけい)】
首のまわりのたるみのことで、新生児から乳児期に最も顕著にあらわれます。胎児期の首もとにリンパ液が溜まることでできる浮腫(胎児頸部浮腫=NT)の名残と言われています。
発生頻度は
45,X=27~53%
45,X/46,XX=26%
(母の声:髪で隠れる部分です。)
(父の声:多くのターナー症候群の胎児はリンパ液に圧迫され、長くは生存できません。翼状頸は奇跡的に生まれてこれた証なのかもしれません。)
【ほくろ】
ほくろの多い方もいますが、悪性腫瘍になることはありません。
多発性色素母斑は26%にみられ、色素脱失(白班)を認めることもあります。
(父の声:程度がよくわかりませんが、私もほくろ多いです。気にする必要はありません。)
【外反肘(がいはんちゅう)】
両手を軽く下げて手のひらを前に向けた場合に、肘から下が身体から離れて外に向く症状のことです。ターナー症候群ではない女性にもみられ、治療の必要はありません。
発生頻度は
45,X=47~78%
45,X/46,XX=54%
(父の声:私も外反肘です。これまで気がつきもせずに生活してきました。)
【リンパ浮腫】
リンパ管系の発達不全が原因となりみられる新生児の手や足の甲のむくみのことです。乳児期以降に軽減することも多いので、幼児期以降ではみつけにくくなります。
発生頻度は
45,X=25~41%
45,X/46,XX=10~26%
(父の声:幼児期以降はほとんど目立ちません。)
【高口蓋(こうこうがい)】
狭いアーチ状の上あご(口の中)のことです。口のなかをのぞくと、その天井にあたる部分が高いため、下から見上げないと天井まで見えません。必ずしもターナー症候群だけにみられるものではありません。
発生頻度は
45,X=36~48%
45,X/46,XX=29%
(母の声:普段の生活では見えない部分です。)
【後頭部低位毛髪線】
うなじの毛の生え際が低いことです。
発生頻度は
45,X=66~73%
45,X/46,XX=49%
(母の声:髪で隠れる部分です。)
【小顎症】
小さな下あごのことで、約60%にみられます。
噛み合わせが悪い場合、指定医療機関において矯正歯科治療が保険適用されることがあります。さらに自治体の小児医療補助制度(東京だとマル乳・マル子)で自己負担が軽減されることがあります。
(母の声:今時の小顔でうらやましい。)
【幅広楯状胸】
胸が広く、乳頭が離れている状態のことです。
発生頻度は
45,X=80%
45,X/46,XX=63%
漏斗胸という、前胸部の中心とおなかとの境界あたりがロート状に凹んでいる(陥凹している)状態を示す場合もあります。
(母の声:気にしなければ気にならない程度です。)
【まぶた】
目頭の皮膚が耳寄りに伸びたたるみがみられることがありますが、垂れ目ではっきりとした目元になり、美人タイプが多いようです。
(父・母の声:イイね!)
【耳介変形】
耳介の低位置、外耳道の狭小化、耳介の突発変形などがみられることがあります。
発生頻度は
45,X=43%
モザイク・構造異常=20%
(母の声:言われなければ気がつきません。)
【爪】
指の爪が小さく柔らかく端が反り上がっていることがあり、乳幼児期のターナー症候群の診断に利用されています。
発生頻度は
45,X=77%
45,X/46,XX=46%
(母の声:爪切りがやりにくいですが、それだけのことです。)
【第4中手骨短縮】
薬指が短いことがあります。
発生頻度は
45,X=37~57%
45,X/46,XX=40~43%
(母の声:言われなければ気がつきません。)
【その他】
外反膝(ひざ)が約35%にみられますが、関節の構造上の異常は伴わないといわれています。
側彎症(背骨の曲がり)が12.5%にみられます。小児期にはみられなくても、思春期以降に徐々に進展する場合があります。
手関節部が手拳方向に変位するマーデルング変形も7.5%にみられます。
(父の声:背骨の曲がりは身長にも影響するので、場合によっては矯正が必要です。)