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静かな有事が起こっていることについて


北朝鮮情勢

異常気象 

経済停滞

多発する地震

テロリズム

この国には様々な有事が存在する。そのどれもが、起こる前は平然としているが、一旦起こってしまうと、壊滅的な被害が想定できるものばかりだ。そのような様々な有事のなかで、「静かな有事」と呼ばれている事象がある。それが少子化問題だ。

少子化はゆっくり進むため、すぐに何か危険な事態が生じるわけではない。しかし少しずつ、確実に負の影響を社会に及ぼす。戦争やテロが起こるわけでもないのに、確実にこの国の国力が失われていく。

ただ、その負の影響は急に顕在化するわけではないので、問題が問題として認識されない。そのせいで、政府も自治体も民間企業も、十分な対策をしてこなかった。未だに子育ては自己責任といわんばかりで、わずかな援助しかない。男性社員の長時間労働は相変わらず続いている。それが少子化の原因になっているにもかかわらず、抜本的な解決策は施されていない。

相変わらず少子化は問題ではないといった意見の根強いし、移民やAIが解決していくれると楽観視する論者も多い。

少子化は、人手不足を生じさせることから、失業対策になるという面は確かにある。しかしながら、深刻な人手不足が続くと、事業自体を打ち切りにせざるを得なくなるケースが増えてくる。病院も人手不足が原因で閉鎖するところも出てくるだろう。

移民が人口減少の切り札になるとも思えない。大量の移民流入がこれまでの社会と摩擦を起こし、排斥運動が起きている諸外国をみていると、日本だけがうまくいく保障はどこにもない。

AIが発達し、人間の代わりに働くときはまだ当分先だろう。仮にそれができたとしたら、初期投資とわずかなメンテナンス費用だけで済むAIを搭載したアンドロイド(人型ロボット)は、生身の人間よりのはるかにローコストなので、今度は大失業問題が発生するだろう。

いつかはその事態にも対処するような検討は必要だが、少子化対策の対案とは次元の違う話だ。アンドロイドが幅を利かせ、生身の人間(ほとんどが高齢者)が隅に追いやられる社会は、とてもグロテスクだ。そのような状況下では、やがて生身の人間はいなくなるだろう。そんな社会が望ましいとも到底思えない。

静かな有事は、静かだからこそ分かりくにい。だからこそ、想像力を働かせ、この有事に対処しなければならない。それができなければ、大量の移民に社会を任せるか、アンドロイドに社会を任せるか、加速度的に不便になっていく社会を受け入れるか、いずれかの選択をしなければならない。

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