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男性にも適齢期がある


妊娠には適齢期がある。それは男性も同じだ。

当然のことだが、男性自身が妊娠するわけではない。しかしパートナーが例え適齢期であったとしても、男性が原因で不妊になることもある。

不妊の原因は女性にあると思われがちだが、部分的な関与も含めると約半数が男性側に原因がある。不妊に悩むカップルは6組1人と言われているので、男性の12人に1人が不妊症ということになる。

女性の適齢期は35歳くらいだが、男性の場合は少し遅い40歳くらいだ。ただ、女性よりも高年齢でも子を設けている男性も多いので、あまり問題視しない人も多いのではなかろうか。(ただし、加齢が不妊症の全ての原因ではない。)

確かに男性の場合は60歳を過ぎても子を設けることもあるだろうが、やはり難しくなる。そして何より、無事に子が生まれたとしても、自閉症やADHDなどの生まれつきの疾患が生じる確率が格段に上昇する。(だから、高齢で子を設けるべきではないということではない。)

男性は女性よりも初婚年齢が高く、生涯未婚率も高い。それは男性があまり結婚に対して積極的でないということもあるだろうが、長時間労働もまた大きな原因となっている。

なぜ、若い男性の長時間労働が多いかというと、企業にとって最も使い勝手がよく、残業させやすいからである。企業が長年、男性しか総合職を採用しなかったのは、男性が女性よりも優秀というわけではなく、長時間労働をさせやすいことが理由だろう。

最近でこそ「ブラック企業」や「社畜」という言葉もあって、会社に滅私奉公する姿がネガティブに捉えられるようになったが、以前は長時間労働(サービス残業)が日本の常識であった。

その長時間労働が、男性から出会いを奪い、恋愛から遠ざけたとも言えるだろう。それでも肉食系男子は恋愛市場に参戦するだろうが、ご存知の通り、昨今は草食系男子が多いので、参戦する気力が残っていない。

日本人が苦手とする自由恋愛で何とかパートナーを見つけられたとしても、長時間労働は変わりないだろうから、子どもはもう少し後でいいなんて言っているとたちまち適齢期を過ぎてしまう。

少子化問題は、女性の高学歴に伴う晩婚化が原因とする風潮が強いが、男性側にも原因があることを認識しなければならない。そして長時間労働が、出会いを遠ざけ、子どもを遠ざける。

この国の労働生産性は、OECE諸国の平均よりも低い。出生率が高いフランスの約6.5割しかない。つまり長時間労働が実績に結びついていないのが現状だ。

男性も女性も、生物学的な適齢期を意識し、長時間労働を是正することが、少子化改善のために必要なことだ。

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