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高齢化問題は、都市部の方がより深刻


この国は、既に人口減少社会に突入している。

これから早急に少子化対策や移民受け入れを検討しても、人口減少に歯止めはかけられない。ちょっとやそっとでは食い止められないくらい、猛烈な勢いで地域から人が減っていく。

人口が減少するだけではなく、老齢化も同時に進んでいるので、支える側と支えられる側の人口構成がかなり歪になっていく。高齢者をどう支えていくかは、これから本格的な課題となる。

人口減少や、高齢化比率は都市部よりも地方の方がより大きいのだが、問題が深刻なのは意外にも都市部の方だ。

高齢者でも介護施設が必要なケースのほとんどは後期高齢者だ。しかも当たり前のことだが、後期高齢者の全てが要介護者なわけはない。そう考えると、実は、介護施設に入るほどではないけど、日用品の買い物や、病院や地域の集まりの送り迎えなど、日常生活のちょっとしたことに支障をきたすような高齢者が圧倒的に多い。

都市部は、地方から出てきた人が多いため、地域とのつながりが希薄だ。ご近所さんとは挨拶程度のつきあいはあるのかも知れないが、行動を共にすることはほとんどない。それに引き換え地方は、近所付き合いがさかんで、親戚も近くに住んでいる。

そのため、車での送り迎えや、買い物の代行などを行いやすい。だから、地方も人口が減り、高齢者比率が高まるけれども、案外支え合ってやっていけるかも知れない。

もちろん今の高齢者は、ネットで買い物したりすることもでき、今後は遠隔診療ができるようになれば通院回数も減ることも予想されるが、それでも全てをカバーできるわけではないだろう。ネットにしても、宅配業者の人出不足問題もあり、現在と同様のサービスが今後受けられるとも限らない。

都市部の高齢化問題は、これから顕在化する。それは高度経済成長時に上京し、そのまま居ついた団塊の世代が後期高齢者に突入するからだ。特に東京のベットタウンとなっている埼玉、千葉、神奈川は急激に高齢化比率が高まる。

それらの地域は、もともと地元に住んでいる人は別としても、上京組みのほとんどは地域に頼れる人もいない。高齢者施設も圧倒的な不足が予測される。かといって、今さら生まれ故郷に帰るわけにもいかない。

特に団塊の世代の男性は、仕事一筋で生きてきた人が多いので、近所付き合いどころか、家族とも疎遠な場合も多いだろう。夫が働いて、妻が家事を担うという役割分担生活を続けていたので、生活能力が乏しい。

団塊の世代は、これから70代を迎える。これまでは高齢者とってもまだまだ元気な60代だった。そして、後10年もすれば、介護や日常生活に手助けが必要となる80代に突入する。介護施設や補助者のいない都会の片隅で、どのような終末を迎えられるのか、どれくらい深刻な社会問題になるのか、想像すらつかない。

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