top of page

少子化なのに待機児童問題が起こる理由


待機児童。保育園に入園を希望しているが定員オーバーでそれが叶わない。

もう何年も解決できないでいる問題だ。待機児童中の保護者からの強烈な圧力もあって、政府も自治体も躍起になって保育園を増設しようとしているが、次から次に入園希望者が増えているために、未だに解決に至っていない。

少子化なので、保育園入園希望者が減ってもよさそうなものだが、実際は真逆の現象が起きている。しかし、それは起こるべくして起こっている。

保育園入園希望者の増加の原因は、働き手側の危機感が高まっていることにある。少子高齢化により人口構成が歪な状況になっており、それに伴い年金受給がこれまで通りにはいかないことが予想されている。小学生でも分かることだが、支える側が減り、支えれる側が増えているので、いつかは支えきれなくなる。そのときは年金受給開始時期を遅らせるか、年金受給額を減らすかしか方法はない。無い袖は振れない。

しかも今は簡単に自己責任と言われてしまう時代だ。それならば年金を頼りにしないで生きていくためには、十分な貯蓄をしなければならない。65歳から90歳まで生きるためには、夫婦で1億円くらい必要だと言われているので、かなりの額だ。

年金も全く無くなるわけではないので、1億円の貯蓄が必要なわけではないが、いつ頃にいくら受給できるか不透明であるので、できるだけ貯蓄を増やしたいと思うのが人情だろう。

それに伴い、これまでは専業主婦が一般的であったのが、共働き世帯が専業主婦世帯を追い越している。世帯収入を増やすためには妻も働いくことが確実で手っ取り早い。そうして出産後も働きたい女性が増え、保育園のニーズが高まったというわけだ。

また、最近では雇用側としても辞めて欲しくない事情がでてきた。少子化により人口減少が進む中、新卒の人員を補充したいがと売り手市場と化しているために、なかなか人材が確保できなくなっており、職場も人手不足に陥っているからだ。

これでまでは、子育て中の社員は足手まといなので本音としては辞めてほしいと思っていただろうが、そうも言ってられなくなってきた。もちろん今でも子育て中の社員に露骨な嫌がらせをする会社もまだまだ多いだろうが、中長期的に考えるとそれは会社にプラスにはならない。

保育園の需要が高まったが、保育士の確保、土地の確保、近隣の理解が得られずに、供給が追いついていない。保育士不足については、保育士の時給が労働に見合っていないからだ。子どもの世話については簡単な仕事という偏見があるために、なかなか改善されない。

土地の確保や近隣の理解については、保育園を迷惑施設という認識の人が増えているため起こっている現象だ。子どもが大事にされている地方では、そういう傾向は少ない。要は社会の寛容さの問題だ。

人口減少問題がまだそれほど身近に感じていないので、少子化対策についても必要性を感じない人も多い。保育園についても同じことだ。ただし、人口減少問題がいよいよ深刻化したときに、急に保育園を増やすことはできないので、出来るだけ早く社会全体がその必要性を理解しなければ、社会は成り立たなくなるだろう。

RECENT POST
bottom of page