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重要性が増す英語教育


日本人の語学力(英語)は世界的に見てかなり低い。

国別英語能力指数 EF EPI 2016では72か国中35位、お馴染みのTOEICでは48カ国中40位(2013年)と、成績が振るわない。アジア圏内においても、それは変わらずに、中国、韓国よりも順位が低い。

勤勉な日本人がなぜ英語が苦手かというと、理由は単純で「必要ないから」に尽きる。英語を必死になって習得してもそれを使用する機会がなければ、宝の持ち腐れであろう。日常業務で英語を必要とする日本人はそう多くない。それが試験結果につながっている。

なぜ日本では英語が必要とされていないかというと、日本は世界でも数少ない「人口が1億人以上いる先進国」だからだ。自国民が少ない場合は、ある程度の規模を目指すのならば他国へ販売するしかない。また高額商品が売れる先進国で販売する方が利益が出やすい。

お隣の韓国を例でみると、人口がおよそ5千万人しかおらず、日本の半分以下だ。そのため、経済の貿易依存度は7割を超えている(日本は3割弱、米国は2割強)。貿易は、英語を介して行われることがほとんどなので、韓国にとっては英語の必要性が非常に高い。

また韓国は、サムスンというグローバル企業がGDPに占める割合が20%もあるので、必然的に海外向けにビジネスを展開している。同じグローバル企業のトヨタのGDPに占める割合は5%程度となので、いかに韓国にとってサムスンが大きな影響を与えているかが分かる。

では、今後も日本人には英語が必要ないかというと、そういうわけではない。なぜかというと急激に人口が減少しているからだ。50年後には現在より7割程度の人口になるので、貿易依存度が徐々に高まることが予想される。

そうなればこれまでほとんど使用しなかった英語を、ついに本気で取り組む必要がでてくる。人間は必要性が高くなるまでは努力しないので、これでまでは振るわなかった英語の成績もおそらく上昇するだろう。

小学校でも3年生から必須科目に、5年生から正式教科になる予定となっている。それは世界のグローバル化の影響もあるが、人口減少も無関係ではない。

これから長い人生を生きる子ども達は、そのような社会構造の変化に敏感になって学習する必要がある。これまでは英語力と収入には緩やかな相関関係しかなかったが、これからは強い相関関係になることが予想されるからだ。

日本人は良くも悪くも流されやすい国民だから、本当に英語が必要だと感じたならば、一気にその方向に進むだろう。テレビの英語放送も増えるだろうし、第二公用語になるかもしれない。

ただし、否応なく英語圏の文化が大量に流入することで、これまでの日本の伝統文化・価値観がどう変化していくのは、また別の話だ。

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