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教育の目標が違う、都市部と地方


学校教育は画一的

学習指導要領や教科書検定制度があるので、この国の教育は画一的で個性がないと批判されることも多い。そういう側面があるのも確かだが、都市部と地方では実は根本的に異なる点がある。それは何かというと学習の目標が根本的違っているのだ。

もっとも顕著なのが、学力に対する目標だ。学力といえば、 全国学力・学習状況調査 (全国学力テスト)が有名だが、保護者からは意外にもそれほど支持されていない。なぜなら保護者は、大学受験に通用する学力をつけたいと思っているが、全国学力テストは最終学歴への相関性は低い。

全国学力テストではトップクラスの秋田県が、センター試験の平均点では下位クラスになっている現状がある。その一方で、センター試験の平均点トップクラスはやはり東京都をはじめ都市部が独占している。

都市部(主に東京)と地方では、塾などの環境の違いがあるので、当然の結果のように思えるが、それだけでは説明がつかない。最近は大手予備校の衛星教室が地方でも展開されているし、自宅のパソコンやスマホでも有名講師の授業を受けることができる。それらを活用すれば都市部と地方の格差は埋まるはずだ。

しかし、学力面ではやはり都市部のほうがよい結果を出している。なぜそうなるというと、やはり、地域が求める教育の目標が違うとしか言いようがない。都市部は学力重視だが、地方では学力はさほど重視していない。

地方では、学力よりも、協調性や運動、友人関係などに力点が置かれている。その地域の意識が、学習指導要領を越えて地域の特色を出している。なぜ地方は学力をさほど重視しないかというと、東京と違い、その学力を活用する場が少ないことが挙げられる(ここでいう学力とは地頭の良さではなく、単純に最終学歴に結びつく学力のことを言っている)。

東京など都市部は、大企業が集積しているので、そこに就職するためには、やはり高学歴が求められる。最近でこそ、大企業も倒産したり、吸収合併されたり、リストラがあったりして、安泰とはいえなくなっているが、それでも中小企業と比べるとまだまだメリットが多い。

それに比べて地方では大企業が一つあればいい方で、高学歴に見合った就職先はほとんどない。それなので、地方出身の高学歴者は、地元ではなく都市部に就職することがほとんどとなる。地方に住む親からしてみると、子どもは子どもの人生があるとはいえ、やはり本音は近くに住んで欲しいと思っている。

つまり、地方にとっては、学力重視してもあまりメリットがなく、大企業で高収入を得るよりも、地元で働くことを望む保護者が多い。それなので、学校に対しても学力を重視するような授業を行うような要望が少ない。

地方では、運動会に時間を割き、地域の結束力を高め、家庭訪問も行い生活状況を把握する。都市部では学習時間を増やすために、運動会はシンプルで、家庭訪問ではなく学校面談で済ませる。

どちらがよいというわけではなく、都市部と地方では違いがあり、それはどちらもその地域にとっては合理的な選択をしているだけだ。

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