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人口減少社会での働き方


【人口オーナス】・・・人口構成が経済にマイナスに働く状況。人口ボーナスの対義語。

1960年~1990年頃にかけては生産年齢人口(15歳~64歳)に厚みがあり、家電・家具・自動車・住宅などの耐久消費財が伸び、経済が拡大していった。当然、サービスの提供を行う株式会社も増え、雇用が促進された。この国における人口ボーナス期である。

中国は2010年、韓国は2013年、ASEAN諸国は2024年、インドは2040年まで人口ボーナス期が続くことが予想されている。この国はバブル経済崩壊と同時期に人口ボーナス期が終了した。それ以降、生産年齢人口は減少し続けているいるが、総人口は減少しなかったのでなんとかGDPは横ばいに収まっている。

だが、2015年以降は、いよいよ人口も減少し始めたので、人口ボーナスの逆の状態、人口オーナスが深刻化していく。日銀が、ゼロ金利どころかマイナス金利政策踏み切ってもなかなか経済状況が好転しないのは、人口減少に伴い高額な耐久消費財が売れない状況が重しになっているからである。

これまでは国内に十分な人口がいたので、国内相手の商売で成り立っていた会社も、いよいよ海外進出せざるを得なくなる。しかし日本式雇用形態(新卒一括採用、終身雇用、年功序列、ゼネラリスト)のせいで、現地の優秀な社員を抱えることができていないと言われている。現地の人もよりよい待遇で働きたいと思っているが、日本式雇用形態では十分な賃金が受けられないので、欧米企業に流れている。

海外進出がうまくできないと、縮小する国内経済で過当競争にならざるを得ず、当然ながら倒産や廃業する会社も増えてくる。昨日まで勤めていた会社が急になくなることも今よりも増える。ただ、人口減少は人手不足を招くので、再就職先がないわけではない。

ただし、自分のキャリアを活かし、なおかつ十分な報酬が得られるかはまた別問題だ。自分が長年親しんだ会社だけではなく、その業界全体が人口減少によるマーケットの縮小と戦うことになるので、たまたま同業他社で募集があるとも限らない。また、売り上げを確保するためにM&Aも増えるだろうし、吸収された側の社員はよほど能力が高くない限りは、出世は見込めない。

縮小する経済状況では、これまでの常識が通用しなくなる。これまでは35歳以上の転職は一般的ではなかったが、これからは会社存続の年数が減少するだろうから、それに合わせいくつになっても転職する必要がでてくるだろう。

その状況は人材の流動性を活発かさせることでもあるので、必ずしも悪いわけではない。これ

からは自分の会社だけの常識やルールが絶対的なものとは思わずに、柔軟に対応できる人でなければ、今以上に生きづらい世の中であろう。

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