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貨幣価値と少子化の関係


貨幣の価値は一定ではない。

と言っても、インフレとかデフレとか物価の話ではない。貨幣は生きていく上でなくてはならないものである。しかし、住む場所によっては、さほど貨幣を使わずとも生きていける。

極端な話だが、完全な自給自足の生活をしていれば、貨幣は必要ない。その場合は、その者にとっては貨幣に価値はそれほど高くない。もちろんあるに越したことはないが、無くても生活はできる。

自分では農作物を育てていなくても、ご近所さんから余った食材を譲り受けることは、地方ではよくあることだ。東京を中心とした都市部では、近隣との付き合いは挨拶程度であることが多く、物のやり取りはほとんどない。

それが、都市部で生きる人間と地方で生きる人間との間に、貨幣価値の変化を及ぼしている。都市部の場合は、商店の数が豊富であり、様々な物やサービスを受けられる。便利で過ごしやすい半面、物やサービスを受ける際には必ず貨幣が必要となるために、貨幣価値が高い。

逆に地方では、商店数もさほど多くなく、物やサービスが限られている。また、商店に行かなくても、食材はもとより、家具や家電を頂くこともある。つまり物々交換の頻度が多いので、貨幣価値が都市部ほど高くない。

県民所得は都市部の方が高く、地方の方が低いが、幸福度が必ずしも比例しないのは、貨幣価値が相対的に異なることも理由のひとつとなっている。そして、貨幣価値の違いは、子育てにも影響がある。

都市部と地方とでは、出生率に差があり、都市部ほど低くなっている。子育ては非常に費用が掛かるものであるので、所得の面から見ると都市部の方が子だくさんでもよさそうなものだが、実際は逆の結果になっている。

貨幣価値に重きを置く都市部の人間は、莫大な費用の掛かる子どもの数を制限する傾向にあるのに対し、地方では貨幣価値が低いため、子どもの数を増やすことにためらいが少ない。莫大な子育て費用を使用する代わりに、高級外車を買ったり、毎年ハワイ旅行に行ったりすることは考えていない。それよりも子育てから得られる幸福感の方に重きを置いている。

こういうと、都市部の人間の物欲が激しい俗物のように聞こえるかもしれないが、地域とのつながりが薄く、貨幣にしか頼れないが故の価値観だと理解してほしい。

しかし、最近は都市部でも貨幣をさほど使わずとも、物をもらったり、通常よりも安く手に入ることができる。無料広告掲示板「ジモティ」などのサービスを使えば、家電製品をタダで譲り受けたりすることも可能になった。このようなサービスの利用頻度が増えれば、都市部においても貨幣価値が低下するかもしれない。

さすがに、それだけで少子化問題が解決するとは思えないが、子育てに費用が掛かり過ぎる事が少子化の原因でもあるので、貨幣にできるだけ頼らない生活が送れるようになることが、解決の糸口になる可能性を秘めている。

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