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社会と人生のOSをアップデートする


【OS】

意味:オペレーティングシステムの略称。コンピュータを制御し、アプリケーションソフトなどがコンピュータ資源を利用可能にするためのソフトウェアのこと。

社会と人生にもコンピュータでいうところのOSが備わっている。

ほとんどの人は義務教育修了後、高校や大学に進学する。その後、大部分の男性は生活の糧を得るために会社に属し、年金が受給できる年齢になるまで途切れることなく働き続ける。女性の場合、長らく結婚や出産を期に一旦退職していたが、昨今ではそのまま働き続けることが主流になりつつある。

それは、皆が当たり前と思っている人生のあり方だし、そうして社会はつくられている。

一方で、未婚者が増え、子供がいる世帯も核家族が主流となっている。昭和の時代によくみられたような祖父母が孫の世話をすることは、少なくとも都市部ではもはや期待できない。

そうなると必然的に少子化が進行する。

祖父母や親戚などの力を全く借りずに何人もの子育てをほぼ母親ひとりで行うことは非常に困難だからだ。事実として、都市部の共働き世帯で子供が3人も4人もいる場合はレアケースで、ほとんどは1人か2人しかいない。

仕事と育児の両立が大変であれば、仕事を辞めて育児に専念すればよいという意見もあるだろうが、そう簡単ではない。年金をはじめとした社会保障制度は、現役世代が支える仕組みになっているので、少子化によって担い手が減少する社会では将来的に受け取れる年金額が先細りすることが簡単に予想できるからだ。

そうしたことから、老後を安心して過ごすためには夫だけではなく妻も働き続けて少しでも将来の蓄えを増やすことが極めて合理的な選択となる。

ただそれは個々の世帯にとって生活防衛のために必要な選択であるが、その結果として少子化が進行する。そして社会の担い手が不足し、国内マーケットが縮小し、将来不安が益々大きくなる状況となってしまう。

そうした負のループを作り出しているのは、これまでの社会と人生のOSが時代に即していないからだろう。

今さら、核家族を辞めて祖父母の近くで暮らすことも、妻が子育てに専念することもできない。だとしたら、社会や人生のあり方を変えていくしかない。限界に来ている社会と人生のOSを最新版にアップデートするほかない。

専業主婦や祖父母が担っていた育児という行為を、もっと父親が担えるような生き方の選択肢を増やさなければならない。

具体的には、実績作りのために取得した1週間程度の超短期育児休業を含めても、わずか数パーセントしかない絶望的ともいえる男性育児休業所得率を早急に高める必要がある。今では非常識な男性の育児休業取得が当たり前になる世の中にしなければ、この国に未来はない。そのために社会と人生の常識や制度を変えなければならない。

多くの人が暮らしやすくなるために社会が存在するのだから、そろそろ社会の根幹をなすOS部分を見直し時期に来ていると感じているのは私だけではないはずだ。


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