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運動会でわかる都市部と地方の違い

  • 執筆者の写真: dad-k1
    dad-k1
  • 2017年6月1日
  • 読了時間: 3分

運動会は地域の社交場だ

と言っても恐らく都市部在住の方は、その意味がピンとこないだろう。

春と秋は運動会の季節だが、全国各地同じような目的で開催されているわけではない。学校毎に特色があるのは当然だが、都市部と地方ではその運動会に対するあり方が根本的に異なる。

都市部の場合は、グランドが狭いこともあって、テントが張れないどころかレジャーシートすら敷けない学校も多い。お昼は子どもは教室に戻って食べ、保護者は一旦帰宅する。また、一人っ子が多く、家が近いこともあり、競技の合間には見所がないので保護者は家と学校を行ったり来たりする。

一方地方では、グランドが広いので前日からテント設営に励む家庭も多い。お昼を子供と一緒に食べるので、一日中グランドで過ごすことになり日陰を確保する必要があるからだ。子どもは2人以上が多いので、保護者は家に帰っている余裕はない。

運動会の観客数も異なる。都市部の場合は基本的に保護者しかいないのが、地方の場合は祖父母も応援に駆けつけるケースが多い。そして地方では家族ぐるみの付き合いが多いので、運動会は一種の社交場となっている。

そのような状況なので、運動会のプログラムも保護者や来賓向けの競技が多数ある。誰のための運動会なのかと思われるかも知れないが、地方の場合は「児童」のために催すのではなく、「地域」のために催している側面が強い。

そのために都市部在住の人からすると、運動会の力の入れどころに理解できないようなものも多い。例えば、応援合戦や行進などは、どこかの共産主義国家を思わせるような整いようで、まさにマスゲームである。当然前日まで炎天下の中、何時間もの練習を要する。

おそらく都市部で同じことをやろうとすると保護者からクレームが来るに違いない。なぜなら都市部では運動会に対する思い入れはそこまで強くなく、また小学6年生の場合は中学受験を控えているので、炎天下のなか毎日何時間も練習したら受験勉強に差し支えるからだ。

一方で、地方の場合は中学受験は一般的ではなく、小学校から中学校に進学するにあたって特別な準備を必要としないので、運動会が小学校の集大成といわんばかりに熱が入る。それを保護者や祖父母、地域社会が望んでいる。

たかだか運動会なのだか、核家族中心の都市部と、三世代家族中心の地方では、その意味合いが異なる。それはどちらがいい運動会かというわけではないが、大きな違いである。

サザエさんやちびまる子ちゃんのような大家族はもはや昭和の虚像と言われているが、地方の運動会を見る限りはまだまたリアルな家族像に思える。

地域のコミュニティが乏しいといわれる都市部に住んでいる人は、地方の運動会という地域の風物詩を見学するとよい刺激になると思う。そしてその地域の家族ぐるみの付き合いが、子育てのしやすさにつながっている様子を見て欲しい。

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