学力の高い秋田県が消滅可能性都市となる皮肉
- dad-k1
- 2017年6月6日
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全国学力・学習状況調査 (全国学力テスト) で常にトップクラスの秋田県。
2016年の小学生部門では全国3位となったが、調査開始の2007年以降9年連続でトップに君臨していた。この学力テストの調査結果と最終的な学歴の相関が薄いため、それよりも四谷大塚主催の全国統一小学生テストの方が真の学力だという意見はあるにしても、どんなテストであれトップクラスになることは難しいので、やはり秋田の小学生は学力が高いと言えるだろう。
そして秋田県は学力のみならず運動も好成績だ。 全国体力・運動能力調査(スポーツテスト)でも秋田県は上位クラスに位置している。
勉強もでき、運動もできる。全国の小学生達は秋田の子に憧れを抱きそうなくらいに輝いているように見えるが、残念ながら秋田県の将来はそんなには輝いてはいない。なぜかというと秋田県では1つの村を除いて、他の市町村はすべて消滅可能性都市(若年女性が2040年までに半減する都市。日本創生会議作成)となっている。
全国の区市町村の約半数が消滅可能性都市となっているので、どの地域も危機的な状況なのだが、秋田県はそのなかでも特に悪い。学力・運動能力がトップクラスの秋田県が、最も人口減少率が高く、ほぼ全ての市町村が消滅可能性都市となっている皮肉な現象。
優秀な若者が地元に残り、地域を支え、家族をつくって、三世代で協力しながら暮らすことが多くの秋田県民の望みであろうが、残念ながらそのような未来はほとんど期待できない。多くの若者は進学のために県外へ転出し、そのまま戻って来ない。婚姻率、出生率、死亡率、自殺率などの項目も全国で最悪となっている。
小学生の学力や運動能力が高いからといって、その地域の経済力や住みやすさに直結するわけではないが、それにしても残念な結果だ。もちろん、秋田の若者にも居住地の自由があるので、その学力と運動能力を地元貢献に活かすために、地元に住み続けろと強制はできない。それでも、優秀な若者の能力が地元に還元されない現状はとてももどかしい。
学力低下などはマスコミがこぞって報道したせいもあって国民の意識が高いのだが、出生率の低下については、そこまで問題視されずに無関心だ。学力のみならず、出生率についても地域ごとの目標があっていいと思うし、その目標達成を強制するのではなく、育児支援というかたちでもっと誘導すべきだ。
居住も出産も個人の自由なので、その自由さを守りつつ、地元で就労し、子供を設けたいと思わせる施策や支援は社会の責務だ。
学力テストの結果や、スポーツテストの結果に一喜一憂しても意味がない。それよりも持続的な社会運営を続けるには、人口減少率を少しでも食い止めることの方が何倍も重要であることにそろそろ気づくべき時がきている。
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