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ソロ社会が当たり前になるとき

  • 執筆者の写真: dad-k1
    dad-k1
  • 2017年6月15日
  • 読了時間: 3分

ある豪華客船が沈没しかけている。救命ボートに飛び移らなければならないが、不安なので誰もが二の足を踏んでいる。そこで船長は考えた。こうすれば、皆飛び移ってくれるだろう。

「アメリカ人の皆さん、ここで飛び移ればヒーローになれますよ」

「イギリス人の皆さん、ここで飛び移れば紳士になれますよ」

「ドイツ人の皆さん、ここで飛び移ることはルールなんですよ」

「日本人の皆さん、他の皆さんが飛び移っていますよ」

有名な国民性を表すジョークだ。日本人は協調性を重視する国民なので、人と異なる行動を嫌う傾向がある。それは、ある時点までは常識とされていたことが非常識となった場合は、即座に行動を変化してしまうことを意味している。

生涯未婚率が年々上昇している。男性は20%、女性は10%を越えた。30年前はいずれも5%以下だったので、特に男性は急上昇している。最近では「ソロ社会」という言葉まで出てきている。

そして企業もソロ化現象を見過ごすわけがなく、「おひとり様」ビジネスを次々に展開している。これまで一人では行きづらかった焼肉店や旅行など、ひとりでも気後れすることなく利用できるように対応し始めている。ひとりでいることが快適な社会になりつつある。

生涯未婚率が上昇したとはいえ、今ではまだおひとり様はマイノリティな存在であるが、いずれ50%を超えてくるだろう。そうなったら、おひとり様ビジネスが今以上に浸透し、ファミリー向けの施設はどんどん無くなる。そして子連れは今以上に居場所がなくなり、レストランに行っても席がないとか、場所を取りすぎとか奇異な目で見られることになるだろう。

一度その状況になってしまうと、これまでのいつかは結婚するという常識が非常識となり、非常識を嫌う日本人は益々結婚しなくなるだろう。そして生涯未婚率はどんどん加速し、最終的には90%を超えるかもしれない。ついにはおひとり様天国になる。

結婚しないおひとり様自体は問題はないのかもしれないが、日本ではフランスのように婚外子が一般的ではない。そのため生涯未婚率の上昇は少子化につながりやすい。

そうなると街を歩いても子連れはほとんど見受けられない大人社会(主に高齢者)になり、静かで秩序が保たれた場が多くなる。そういえば聞こえはよいが、変化に乏しく、賑やかさに欠けるつまらない場とも言える。

当然、社会の担い手がいなくなり、どこかの時点で行き詰る。ソロ社会の到来は新たなビジネスチャンスを生み出す一方で、行き過ぎると社会そのものが運営できなくなる危険性を秘めている。

同調性の高い日本人が、おひとり様を常識としないように、結婚して子どもを設けることがメリットと感じやすいような経済的支援や、休暇制度など、早急に対策を打たなければ、この国の社会は取り返しのつかない状況に陥ってしまうだろう。 


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