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有給休暇取得率が最低の国


世界26カ国中最下位。

これは旅行サイトのエクスペディアが毎年公表している有給休暇取得率の2016年のランキングだ。過去9年のうち、7年は最下位になっている。

プレミアムフライデー、キッズウィークなど政府も働き方改革の一環として、策を講じている。プレミアムフライデーは月末に設定したこともあって、民間企業の月末締めの経理処理や報告書作成時期と重なるために、休みたくても休めないという状況があることも事実だ。

(それでも月末に設定しているのは、恐らく給料日後にあたり消費を促進したいという意図があるためだ。)

ただし、だからといって政府が無策だとか役人をただ批判するだけでは、何も変わらない。そもそも政府に音頭を取ってもらわないと休みすら取りづらい雰囲気があるのもまた事実だ。外国からは休みもお上に言われないと取れない情けない国と揶揄されている。

政府が働き方改革を推し進めたい大きな理由としては、少子化対策と景気対策であろう。

地域社会がもっと深くつながっていた時代は母親ひとりで子育てをするのではなく、祖父母や近所のおばちゃんなど、複数の手で育てることが普通だった。現在でも出生率の高い離島などはそのように子育てをしている。しかし都市部(特に全国から流入する東京)においては、母親が一人で子育てをしている、いわゆるワンオペ育児の状態だ。

それを現実的に手助けできるのは父親しかいない。遠くの祖父母や、近所の知り合いに助けを求めることはなかなか困難であるからだ。そのためにも有給休暇を取りやすくすることで、ワンオペ育児を緩和し、少子化を少しでも是正したいということだろう。

また、休みがろくに取れない状況では、恋など芽生えないし、結婚とか考えられないだろうから、その意味でも働き方を改革することは重要だ。

経済対策については、なんだか政府に乗せられているようで嫌悪感を感じる人もいるだろうが、社会全体としては正しいことだ。日本人は清貧を美徳とする国民であるから、お金を使うことは悪と思っている。それは地震などで甚大な被害が及んだときにでも、消費活動を自粛するという全く被災地のためにならない意味不明の行動をしてしまうことでもわかるだろう。

被災地を助けたいのなら、いつも以上に消費を活発化させ、経済活動を滞らせないようにするのが正しいのだが、なぜかその真逆の行動をとってしまう。消費の自粛は自分のへそくりを増やすだけだ。

バブル崩壊後に縮小した消費志向は、節約すればするほど不況から脱出できなくなるという不思議な状況を生み出した。個々では不況に対応した正しい消費行動なのだが、全員がやってしまうと全体の経済活動が縮小してしまう「合成の誤謬」となってしまった。

それを考えると、有給休暇を取得しやすくすることで、消費を増やすということは、今の日本に適した全うな政策である。

政府が国策として行うと、少子化や景気のために利用させられていると憤るかもしれない。ただ、そもそも音頭を取ってもらわないと休めない状況が、外国からバカにされるくらい情けないことであることを自覚した方がよい。

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