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伸びないGDPと、人口の波

  • 執筆者の写真: dad-k1
    dad-k1
  • 2017年4月12日
  • 読了時間: 2分

ここ数十年、日本のGDPが冴えない。

日本がバブル崩壊の後遺症に苦しんでいる間に、貧困国と思っていた国々が次々に新興国へと成り上がり、日本との差を埋め続けている。また米国をはじめとする他の先進国でも、新興国ほどではないが1990年時点より大きく成長している。

日本だけが世界から取り残された。 

それはデフレが原因であり、そのデフレは貨幣現象だ。そういって政府と日銀は異次元の金融緩和を続けている。しかしながら一時的に株価の上昇はあったものの、改善にはいたっていない。 

では、デフレ経済の原因は何であるのか。それについては様々な仮説が唱えられているが、もっとも有名なものが 藻谷 浩介氏の「デフレの正体」であろう。経済は人口の波で動くと主張している。

考えてみれば育児には相当なお金がかかる。オムツ、ミルク、服、習い事、自動車、家など子どもが増えることで様々消費行動が発生する。その消費の代金が店に支払われ、メーカーにも渡り、その従業員に給与が振り込まれることで、経済が活性化される。

子どもがいない世帯は贅沢品の消費が増えるが、一般的には子どもがいる世帯ほどの支出はしない。そう考えれば、子どもがいない状況では消費が限定されるので、経済は人口の波で動くということは実感できる。 

もっとも人口が減少する国でも経済成長している事例は多い。それでも大きな原因のひとつになっていることは間違いない。経済学上は、デフレ経済と人口の波は相関が薄いという見方が主流らしいが、経済学自体が全ての事象を捉えきった確立された学問ではないので、新たな説の登場により今までの常識が覆ることも多い。(最近ではトマ・ピケティがクズネッツの逆U字仮説を過去の膨大な資料解析によって否定した。その話は別の機会に) 

人口の波が経済に深く影響を与えているとしたら、少子化が伸び悩むGDPの大きな原因となっていることになる。労働者一人当たりの生産性の向上させることももちろん重要であるが、それ以上に人口減少の方がはるかにネガティブインパクトだ。

育児と経済は一見すると無関係に感じるが、実は相当深くつながっている。会社の業績が伸び悩む要因のひとつに、少子化があり、その少子化は男性の長時間労働による母親の「ワンオペ育児(ひとりで全てをこなす育児のこと)」であることを、社会全体で考える時がきている。

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