核家族化 × 非ワークライフバランス =
- dad-k1
- 2017年5月24日
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1.オランダ
2.デンマーク
3.フランス
34.日本
これはOECDが発表している先進38カ国における「ワークライフバランス」の順位を示したものだ。予想通り、日本は下位グループに位置しており、上位はヨーロッパ諸国が占めている。
ワークライフバランスは最近になって聞くようになった言葉であるが、ライフワークと混合されがちなこともあって、まだ皆が知っている常識的に知っている言葉とはいえない。意味としては言葉の通りだが、ワーク(仕事)とライフ(生活)のバランスを取ることで人間らしい生活を送るよう推奨している。
ワークライフバランスについては密かに賛否があり、今までガムシャラに働いてきた世代にとっては特に受け入れがたいものである。またブラック企業の経営者からしてみても、不都合な概念だ。外資系企業にしてもワークライフバランスが取れているようなイメージはあるものの実際は企業ごとに大きく違う。
実は、少子化という観点からみると、ワークライスバランスが悪いからといって必ずしも出生率に影響がでるわけではない。実家が近くにあり両親が健在であれば、長時間労働を行っても育児は十分可能である。
しかし日本社会は戦後一貫して核家族化が進んだ。独身時代や夫婦だけの頃は実家から離れた方が自由なので居心地がよいからだ。だが赤ちゃんがお腹の中に宿った瞬間から状況は一変する。実家の近くに住んでいない場合の育児は、予想以上の困難を強いられる。
「子はかすがい」というものの、子連れだと効率的に動けないし、よく病気になるし、空気を読まずにどこでも騒ぐので、四六時中一緒にいると気が滅入る。少し大きくなると保育園や幼稚園の送り迎えのために制約を受けながら過ごさなければならないし、小学校に上がれば宿題も見なければならない。
そうして自分の時間がほとんど無くなっていく現実を体験すると、二人目の壁がどんどん大きくなる。
親元を離れたのも子供を設けたのも、自分で決めたことでしょ、自己責任じゃないのという指摘は、ごもっともで正しい。けれども、それによって少子化が進み人材不足に陥り世の中が廻らなくなりつつあるのだから、そうも言い切れなくなっている。
子供を設けた時点で実家の近くにUターンできればよいのだが、実際にはなかなか難しい。なぜなら労働市場の流動性が低いため、簡単には今の仕事を辞めることができないからだ。そうなると子供を設けても、やはり実家の近くには引越しできずに、周辺に気軽に手助けを頼めない状況での育児とならざるを得ない。
ワークラバランスは、多くの労働者にとって必要なものであるが、育児世帯にこそ特に必要性が高い。実家の両親に頼れない状況だと、あとは自分たち夫婦がなんとかするしかないからだ。
誰にも頼れない状況下で、長時間労働をしながら育児を続けてた結果が、急激な人口減少問題へとつながってしまった。社会が、未来を支える人材を育成している世帯に対して、ワークライフバランスについて理解を示してくれると、少子化問題はマシになるのではなかろうか。
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