「人口減少カレンダー」が示す未来
- dad-k1
- 2017年6月29日
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2020年 女性の半数が50歳越え
2025年 全国民の3人に一人が65歳以上
2027年 輸血用血液が不足
2033年 3戸に1戸が空き家に
2039年 火葬場が不足
2040年 自治体の半数が消滅
2042年 高齢者人口がピークを迎える
河合雅司氏著「未来の年表」の表紙に記載されている「人口減少カレンダー」である。人口減少の影響については様々予想されているが、具体的にいつ頃何が起きるか時系列に示されると迫りくる現実を実感できる。
人口予測については、他の未来予測と比べると格段に制度が高いが、このカレンダーに記載されていることが全て起こり、悲惨な状況になっているかというと、そうでもない。現状において予想されていることへの対策をしっかり行えば、危惧されている事態はある程度防げるからだ。
例えば、「輸血用血液が不足」、「3戸に1戸が空き家に」「火葬場が不足」「自治体の半数が消滅」といった項目は対応の仕方によってはある程度解決できる可能性がある。ただし、高精度の人口予測に基づくものであるので、その項目自体は発生する可能性が極めて高く、よほどしっかりした対策を講じなければ解決は不可能となる。
少子化問題が軽視され続け、社会が抜本的な対応を取らなかったせいで、人口減少社会に突入してしまった。これから急いで本格的な対策を講じたとしても人口減少を食い止めるには数十年かかる。出生率が今年から3.0を越えるような状況になれば話は別だが、2。0すら大幅に下回っている状況では現実的ではない。
少子化問題の難しいところは、少子化が顕在化しても数十年は問題にならないが、いざ問題が出始めて有効な対策を打ったとしても、その効果が現れるのもまた数十年かかることだ。昨日と今日では何も変わらないが、今日と10年、20年後は全く違う社会になっている。それゆえに深刻にもかかわらず、問題が軽視され、対策が後手にまわり続けた。
それなので少子化を今すぐに是正(出生率2以上)したとしても、相当長い期間は人口減少という事態と闘っていく必要がある。人口減少そのものを止めることはもはや不可能なので、人口減少に付随して起こる問題に対応するしかない。
実際にどこまで対応できるかは、国民が何に価値観を置くかという選択の話になるだろう。限られた人材と資本で対応せざるを得ないわけなので、恐らく全ての問題を解決することはできない。
例えば火葬場が不足する問題については、火葬できなければ、土葬するしかないだろうし、それがいやなら数年間は火葬待ちということも考えられる。
半数の自治体が消滅する問題については、自治体が統廃合を繰り返すことを意味し、その場合はサービスも低下が免れないだろう。同レベルのサービスが提供できるほどの財政的な余裕があれば、そもそも消滅する必然性はない。サービスの低下に伴い、今後は住めなくなる地区が発生することが予想される。
空き家も税制面や助成金などをコントロールすることで、更地化やリノベーションなどを促し、防犯・防災面である程度問題がないレベルにしていくしかない。少なくとも全国の全ての空き家に新しい住人が暮らすことは、人そのものが減っている以上不可能だ(相当数の移民を受け入れれば話は違うが、それもまた難しい。)
悲観的になり過ぎることはよくないが、楽観的であり続けたツケが回ってくるのはこれからなので、次々に噴出する問題に、その都度対応する他ない。
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