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沖縄県民の幸福度から、価値観を考える


『全47都道府県幸福度ランキング2016年版』

沖縄県 46位

『日本でいちばんいい県 都道府県別幸福度ランキング』

沖縄県 47位

『地域しあわせ風土調査』

沖縄県  1位

沖縄県は失業率が高く、県民所得が低く、学力が低く、大学進学率も低く、生涯婚姻率も低い。しかし一方で、出生率が高く、移住希望者が多く、地域のつながりがとても強い。

幸福度とは主観的な部分が多いので、どの指標を重視するかでまるで結果が異なる。沖縄県ほどそれがはっきりと出る県はない。そのよい面と悪い面が、上記の幸福度ランキングを真逆の結果にしている。

幸福については、 ある経済学者 が「地位財」と「非地位財」に分けて考えている。少々難しそうな言葉であるが、簡単に言うと

地位財   =所得、貯蓄、役職

非地位財 =愛情・友情、自由、健康

である。単純に物欲や出世欲が満たされただけでは不十分で、人とのつながりや自由や健康がなければ幸福感は感じられない。そもそも地位財はいつまで経っても満たされることはないだろうし、非地位財についてもSNSのフォロワー数を他者と競ったりすると、途端に空しくなる。

沖縄県民は一般的に、「非地位財」が高く、「地位財」が低い。所得よりもつながりを求めている。真逆なのは東京だろう。東京では物価が高すぎ、地縁関係が薄いこともあり、「地位財」が高く、「非地位財」が低い。

その結果が、出生率にも反映されている。現代においては、子育ては愛情など感じる一方で、経済的負担がとても大きい。そのため、子育ては「非地位財」を高めることにはつながるが、「地位財」を低くしてしまう。経済的合理性の面からいうと、子育ては負の影響しかない。そのため東京では出生率が全国最低となっている。

沖縄はそもそも「非地位財」を重視しているので、子どもとのつながりによって、より幸福度が増すと思われる。そのために子を設ける方が幸福を考えると合理的な判断となり、出生率が高くなっている。

少子化対策には経済的な支援(地位財)は不可欠であるが、やはり、子どもと接する時間や夫婦やカップルの愛情を感じる時間(非地位財)を増やすことが重要だ。

これから社会を担っていく最近の若い人は、「地位財」よりも「非地位財」を重視する方が多いようだ。長時間労働で出世することよりも、友人や恋人との時間を優先する傾向が強いと言われている。企業戦士と言われた長時間労働に慣れきった世代からしてみると、甘ったれた価値観のように思えるだろうが、その若者の価値観の方が沖縄県民の価値観に通じるものがある。

もちろん「非地位財」に偏りすぎてはいけないが、これまでこの国は「地位財」に価値を置きすぎて、それが少子化を招いた面も否めないので、あながち若者の価値観が間違っているとはいえない。また、政府が進めている、子育て支援(地位財)や働き方改革(非地位財)も、まだまだ十分ではなく、効果は限定的だが、方向性は間違ってはいない。

社会の価値観が変わることが、人口減少問題の解決の糸口になる。

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