ワンオペ育児を無くすためには
- dad-k1
- 2017年7月11日
- 読了時間: 3分

ワンオペ育児(母親ひとりで行う育児)は、日本社会の常識となっている。
最近でこそ、イクメンという言葉ができたが、それまでは母親が当たり前のように家事と育児を担っていた。父親はあくまで補佐的な存在で、たまにオムツ換えをやったり、お風呂に入れたり、保育園の送り迎えをしたりする程度だ。
それは共働きの場合も同様で、育児の責任者は母親となっている家庭がほとんどだ。場合によっては、未だに母親が100%育児を担っている家庭も多いだろう。
仕事でも同じことだが、補佐で行う業務と、責任者として行う業務とでは、精神的・肉体的な負担感がまるで違う。育児は見た目以上に負担が多い。街で見かける子どもと母親は楽しそうにしているので、育児自体が楽に思えてしまうが、実際はそんなことはない。
夜泣き、乳吐き、生活リズム、オムツ換え、大量のお出かけ荷物、読み聞かせ、ゴッコ遊び、送り迎え、看護など、好き好んではやりたくない業務がたくさんある。子どもの笑顔という報酬のみが救いであるが、その心身のバランスが崩れ、虐待やネグレクトに走るケースもある。
実際に虐待をするまでにはいかないにしても、寝不足が続き、世間から隔離されてしまうと、気が滅入ってうつ気味になった経験がある母親も多いだろう。
だったら父親もっと手伝えばいいじゃないか(この手伝うという言葉が、母親の気持ちを逆撫でするようだが)と思われるかも知れないが、実はそんな簡単な話ではない。社会全体が、育児=母親がやること、と決め付けているので、父親が育児のために仕事から外れることは許容されていない。
送り迎えのために父親が早退したり、病気のために休んだりできるのは一部の会社に留まる。ましては育児休業などはほとんど取れない。ちなみに、この国の男性育児休業取得率は4.05%(平成27年度)しかなく、しかもそのほとんどが1週間未満となっている。一週間程度では体験育児くらいしかできないだろう。
子どもが小さいからといって、男性の長時間が免除されるわけでもない。よく上司がいうセリフとして、「もし子どものために仕事をセーブするとしたら、売り上げの落ち込みはどうするんだ。誰が補填するんだ。甘ったれたこと言うな。」というのがある。一見すると正論であるが、企業の内部留保は年々積み上がっており、少々売り上げが落ちたところでどうってことはない。
内部留保をほんの少しだけ育児のために使えば、社員と社会の幸福につながる。それが無ければ、少子化が加速し、やがて経済が縮小し、会社の売り上げも減少する。
育児に理解を示さない上司のほとんどが経営者ではなくサラリーマンであるので、内部留保がどれだけ積みあがっているかなど考えも及ばないのだろう。自分の所属する部課の売り上げのことしか頭にない。(最近の若者はそのよう上司を社畜と呼んでいる。)
ワンオペ育児を解消するためには、夫に文句を言うだけでは変わらない。社会全体が共通認識を持てるように、ワンオペ育児の社会への弊害を、当事者である母親がもっと発信すると説得力が増すだろう。この記事がその一役を担ってくれれば幸いだ。
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