育児休業取得率の格差
- dad-k1
- 2017年7月12日
- 読了時間: 3分

女性 81.8%
男性 3.16%
2017年5月に厚生労働省が発表した育児休業取得率の男女比較だ。女性は半数を大きく越えているのに対して、男性はまだまだ少数派である。育児は母親がするものという日本社会の伝統がしぶとく残っていることを物語っている。
政府もその事態を重くみており、男性の育児休業取得率を2020年までに13%を目標としている。男性育児休業取得率については、年々向上しているので、もしかすると目標を達成できるかも知れない。
しかし、いくら男性の育児休業率を上げても、あまり少子化には効果が得られそうにない。なぜなら、男性の育児休業の取得期間は、5日未満が56.9%、二週間未満まで含めると、74.7%とかなり短期間であるからだ。5日間、育児休業を取得したとしても、できる育児はわずかしかない。二週間で赤ちゃんがある程度大きくなるわけはない。
なぜそのように極端に短い期間しか取得できないかというと、やはり職場の理解が少ないからだろう。中には育児に理解のあることをアピールするために短期間の育児休業を取得させている企業もあるだろう。
出産、退院後、生活のリズムができるまでは最低でも2~3ヶ月はかかる。もし、その間だけでも父親のフォローができれば、母親の育児に対する負担感がかなり軽減する。経済的な問題もあるので、それがすぐに少子化改善に結びつくとは限らないが、二人目の壁が低くなることは確かだ。
実は男性側も育児休業を取得したいと思っている。民間企業の調査によると、6割を超える男性ができることなら育児休業を取得したいという意向があるようだ。ただし、実際は3.16%しかいない(しかもほぼ短期のみ)とのギャップが大きい。
なぜ取得したいにもかかわらず、それができないのかというと、最も多い理由が、男性が育児休業を取得すること自体に、職場の理解が足りないというものだ。それは、自分が取得すると業務が回らなくなるというよりも、単に職場の理解が得られそうにないので取れないという協調性が高い日本人らしい理由が最多である。次は経済的な理由となっている。
職場の理解、つまりこれまでの常識が変化し、取得しやすい状況ができ、なおかつ経済面での支援があれば、男性の育児休業取得率は劇的に向上するだろう。
残念ながら、職場の常識はすぐには変わらない。今では女性の育児休業はほぼ常識となっているが、制度の導入当初は反発もあったはずだ。それでも取得する者が少しずつでてきて、取得期間も少しずつ長くなり、だんだんと職場での常識を勝ち取ってきた。
男性の育児休業も、少しずつではあるが増えてきている。また今は、どうしようもないくらいの短期間しか取得できていないが、職場が少しずつ変わっていけば、十分な期間取得できるようになるだろう。
時間はかかるが、常識は絶対的なものではなく、変化するものだ。今は非常識なことも、10年後は常識となるように、少しずつ今を変えていくしかない。
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