疲弊する地方の経済・社会
- dad-k1
- 2017年4月14日
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50年後の2067年には日本の人口は約3割減少する。だが全国一律で減少するわけではない。当然東京など大都市はある程度、地方からの流入が期待できる。その一方地方都市となると逆に流出が多い。
50年後についての資料はないが、23年後の2040年については都道府県別の推計がされている。その推計によると人口の減少率が最大な都道府県は秋田県である。その秋田では、
「2040年に約3割も人口が減少(全国では約1.3割の減少)」
という結果となっている。23年後といえば、今日生まれた赤ちゃんが大学を卒業して社会人になる頃だ。秋田県では、赤ちゃんが社会人になる間に3割も人口が減ってしまう。さらに深刻なのはわずか23年で、
「生産年齢人口(15歳~64歳)が約4割も減少(全国では約2.3割の減少)」
「老年人口(65歳~)と生産者年齢人口の割合はおよそ1:1(全国ではおよそ2:3)」
になってしまう。いくら今時の高齢者は元気だといってもさすがに限界がある。また、大都市はある程度外国人労働者に頼ることができるが、地方都市においては製造業が盛んな東海(愛知や静岡など)以外はそれも難しい。このままだと地方の産業の柱である農業、漁業、建設業などが成り立たなくなる可能性が高い。また、生活面ではシャッター商店街どころかスーパーでさえ撤退して日常生活に支障をきたす地区も増えてくる。
政府も自治体もそれを見越してコンパクトシティ化(富山市が成功例としてよく取り上げられている)を促してはいるが、ご存知のとおり地方は車社会だ。駅を中心に商業施設が集積している大都市とは街の構造が異なる。いったん寂れてしまった商店街を再び活性化させることは困難だ。
駅周辺の商店街からロードサイドの大型チェーン店に様変わりした地方都市の日常は、人口減少による不採算店舗の増加により撤退が相次ぐことで一変する。日常の買い物も車で遠方まで行かなければならず、それができない人は生活困難者となる。
それが現在進行形で疲弊していっている地方都市の現状である。しかし、そんななか唯一、未だに人口を維持している県がある。それは沖縄だ。沖縄県は23年後の2040年にもほとんど人口は変わらない。また、
「生産年齢人口は約1.5割減(秋田県は約4割減)」
「老年人口と生産者年齢人口の割合もおよそ1:2(秋田県はおよそ1:1)」
と予測されている。秋田県と比較すると驚きの数字だ。全国学力・学習状況調査ではトップクラスの秋田県が人口減少によって日常生活が脅かされることを考えると実に皮肉な現象といえる。
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