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産まない、産めない、つながらない

  • 執筆者の写真: dad-k1
    dad-k1
  • 2017年4月20日
  • 読了時間: 3分

西暦4205年10月11日 この国から子どもがいなくなる。

これは全くのフィクションではない。東北大学の研究室が公開している、ある条件下で推計を行った結果だ。

(参照:http://mega.econ.tohoku.ac.jp/Children/index_2016.jsp)

いつ日本人がいなくなるのかは、推計条件の設定しだいで大きく変動するし、西暦4000年代なんて誰も生きていないのだから、リアリティが沸かないし関係ない。多くの人はそう感じるだろう。ただ、子どもの数が減り続けることだけは確固たる事実だ。そして、子どもが減ることは人口減少と直結することであり、その過程においても経済や社会に様々な影響を及ぼすので、決して無関係ではいられない。

少子化の原因は単純ではない。おそらく多数の直接的、間接的な要因が複雑に絡み合っている。それらの要因をひとつひとつを分析し対策を講じていかなければ、社会は持続しない。

多数の要因を考える前に、まずは社会的な背景を押さえたい。少子化対策を国として考えている厚生労働省の白書によると、

1.仕事と子育てを両立できる環境整備の遅れや高学歴化

2.結婚・出産に対する価値観の変化

3.子育てに対する負担感の増大

4.経済的不安定の増大等

を背景として挙げている。白書では立場上オブラートに包んだ表現をしているので、もう少しストレートに記載すると、

1.主に父親が就労、母親が家事・育児をする専業主婦世帯が少なくなる一方、父親・母親双方による就労・家事・育児を行う共働き世帯が多くなった。しかし、実際は共働き世帯でも母親に家事・育児の負担がかかり、それを解消する環境が整っておらずに、事実上母親による「ワンオペ育児」が常態化しているので、次子を持つインセンティブが働きにくい。また、高学歴化に伴う晩婚化が進むために妊娠適齢期が短縮している。

2.家長制度の廃止により、親が主体となったお見合い結婚から、本人が選ぶ恋愛結婚にシフトしたために、そもそも結婚・出産に魅力を感じなくなったり、意思はあるが出会いがなかったり、きっかけがつかめなかったりする。

3.大学進学率の上昇や公立中学の不信感による私立中学の人気上昇に伴う教育費増大。都市化が進むにつれ居住面積が小さくなったために家族を増やせない。長時間労働のため精神的・肉体的な負担感の増大。

4.長引く不況による非正規職員、フリーターの増加やリストラなどの失業リスクの増大のために婚姻に至らない。もしくは経済的理由によるDINKS世帯(ダブルインカムノーキッズ)の増加

となる。もちろん、そもそも産む産まないを国がとやかく言う立場にはないはずだ。日本の将来のために、本人の意思を無視して無理やり結婚させたり、産ませたり、また結婚しない人、産まなかった人を非難する社会は誰も望んでいない。

社会が環境を整え、個人が「自由意志」で産むことを選択し、社会をつなげていく。そして、それが社会に歓迎される。

理想論かもしれないが、そういう社会でありたい。

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