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二人だと簡単にできることも、一人では難しい

  • 執筆者の写真: dad-k1
    dad-k1
  • 2017年4月22日
  • 読了時間: 3分

「子供を育てるのって、本当は難しいことじゃなくて.....。じゃないんだけど、難しいのは、それを一人ですることで。お風呂も、ご飯も、電車も、みんな二人だったら簡単にできることが、一人だと急に難しくなる。」

「子供を連れて街に出て、いちばん耳にするのが舌打ちと咳払い。毎日聞いてると、だんだん、なんか.....子供 連れてるのが悪いことに思えてくる。」

「お金がないって、人に言うと、母の愛があれば大丈夫って言われます。そうか。そうかなあ....。よくお金で買えない幸せあるって言うけど、そういうことを言う人はお金 持ってて、わたしはとにかく まずお金で買える幸せが欲しい。」 

「母親にはスイッチがありません。スイッチを入れたり、切ったりができないんです。一度母親になると、それから先ずっと母親として生きてしまう。趣味も、時間の使い方も変わり、それまでどんな人間だったのかにかかわらず、 “母親” という人格になってしまう。虐待や育児放棄ネグレクトはその延長線上にあります。」 

これらは全て、坂元祐二脚本、満島ひかり主演のシングルマザーをテーマにしたドラマ「Woman」のセリフだ。シングルマザーやワンオペ育児を強いられている母親の心情をリアルに表現しているその残酷な現実は、母親になることを夢見ている人にとっては、まるで想像もつかない世界だ。

この国のシングルマザーは高確率で貧困に喘いでいる。豊かなはずの日本であるが、OECD諸国(いわゆる先進国)のなかではトップクラスの貧困率だ。シングルマザーのおよそ半数が、平均的な所得の半分しか得ていない。平均年収でいうと223万円。

シングルマザーの中には、働かずに彼氏と暮らして育児放棄をしている人もいて、たまにそんなのがニュースになったりすると、非難の的になったりする。だが、ほとんどのシングルマザーはいろんな理由があるにせよ、ひとりで子どもを育てることになって、誰にも頼れずに、必死になって働いてやっと暮らしている。虐待や育児放棄を擁護することはできないけど、とても自己責任で片付けられないほど貧困状況に陥っている現実がある。

幸福感とは相対的なものだとすると、豊かな日本における彼女らの貧困は、相対的に不幸感を強いることになる。彼女らにとっては、まだみんなが平等に貧しい社会のほうがましだ。

社会の不寛容さから、彼女らに手を差し伸べるものは少なく、無知と無関心がどんどん育児を苦しいものへと追いやる。彼女らは、不可逆的な時系列のなかで、子どもを産まなかったことにすることはできず、日々を忙殺され、自分を捨てて生活を送っている。

身を粉にして働いて、生活して、いつの日か、その子どもたちが成人し、働き、納税し、社会を支える。それをシングルマザーを非難していた人々が、その恩恵に与る理不尽な社会。たぶんそれは、社会保障制度の設計ミス。

最後に、もうひとつセリフを紹介する。

「母性なんて、男が逃げるために作った言葉だった。子供への愛情は、母性と父性を分けるものじゃなかった。ぼくたちは手分けするんじゃなくて、手を取り合うべきだった」

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