年間60万人の移民を受け入れる覚悟はできているか
- dad-k1
- 2017年4月25日
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ジェットコースターが天辺に差し掛かったとき、一瞬、時間が止まるような感覚になる。これまで見えなかった遠くの景色まで見渡せるようになり、とても心地のよい時間が流れる。しかし数秒後には急激な下り坂を進むことになり、恐怖は天辺から少し過ぎたあたりから始まる。
人口減少社会に突入した。まだ人口というジェットコースターは天辺から下り始めたばかりだ。なので人口減少の負の影響はさほど感じていなかも知れない。だがこれから50年間の間に3000万人も日本人がいなくなってしまう。年間平均にすると毎年、60万人の人口が減っていく計算になる。
必ずしも人口減少は悪いことばかりではないが、これからこの国に起こる減少速度はかつて人類が経験したことがないほど急激だ。まさしくジェットコースターが下がるように人口が減少していく。問題はその速度であり、プラスの影響よりもマイナスのほうがはるかに大きい。
それならば移民を受け入れれば解決するという意見も根強い。だが、これまで積極的に移民を受け入れて来なかった日本が、これから大量に受け入れることは可能だろうか。
実は移民受け入れ政策は世界的なトレンドから外れている。トランプ政権誕生やイギリスのEU離脱の国民投票からもわかるように、急激にグローバル化された世界はその反動を受けている。その反動の原動力となっているのが、元々中産階級にいた地方に住む白人層が移民に仕事を奪れたことによるところが大きい。
また移民は異なる文化や習慣、価値観を持っており、既存の住民と摩擦を起こしやすい。ましてはこれからますます老化する日本人のなかに、比較的若い移民が大量に押し寄せてきた場合、彼らと対等に渡り合えるだろうか。
少数の移民であれば日本の文化や習慣にある程度染まってくれるだろうが、仮に現在の日本の人口を維持しようとするならば、毎年60万の移民を受け入れる必要がある。なので比較的マナーがよい知識層だけを選りすぐることは不可能だ。もし自分が能力の高い外国人だっとしたら、息苦しそうな日本ではなくアメリカを目指すのではないか。
移民を積極的に受け入れるべきという論調には、移民は既存の日本人を支えるために必要といった前提がある。しかし、移民にも移民の慣れ親しんだ生活があり、彼らも老後は介護などが必要となるし、生活保護などのセーフティネットも用意しなければならない。
果たして、日本人にそういうことまでひっくるめて受け入れる覚悟はできているか。ゴミ出しのマナーの悪い移民がいたとしたら、心を通わせることはできるか。移民が犯罪を犯した場合は、日本人が犯した場合よりも憎悪が沸かないか。
でも、もし育児を妻に押し付けて、電車から子連れを排除して、職場でも保育園の送り迎えをする部下にいやみを言ってきたのだったら、文句を言わずに移民を受け入れるしかない。
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