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国の借金と家族計画

  • 執筆者の写真: dad-k1
    dad-k1
  • 2017年5月23日
  • 読了時間: 3分

ギリシャの次は日本だ。

ギリシャが財政危機に直面したときに、次に起きるのは日本だという報道が新聞やワイドショーで頻繁にされていた。なぜ次は日本なのかというと債務残高の対GDP比の高さがギリシャよりもはるかに大きかったからだ。ギリシャ財政危機時点の両国の債務残高/GDPは

ギリシャ=128.6%

日  本=193.2%

であった。しかもギリシャはEUに所属しているので危機のときはEU各国が助けてくれるが、日本はどこも助けてくれないという悲観的な報道が多かった。最近ははすっかりそのような報道が減ったが債務残高が改善したのかというとそういうわけではない。

2010年  882兆円(対GDP比193.2%)

2016年 1053兆円(対GDP比232.4%)

となっており、むしろ悪化している。それでも日本が未だに財政破綻に至っていないのは、国(政府)自体が金融資産や対外債権を有しており、また国民の豊富な金融資産が潤沢にあるため、いざという時は借金をチャラにできるからだといわれている。また、債務残高の大部分を占める国債が外国に対して借金しているわけではない点がギリシャとは大きく異なる。

ただし、だったら安心とは誰も思っていないだろう。確かに国と国民を足し合わせれば国の負債は大したことはないのかもしれないが、それはいつか国の借金を国民が肩代わりしなければならないのではということを連想させる。

当たり前のことだが、本来は国と国民は別人格なので政府の借金は国民には直接関係のない話だ。しかし国の財政が破綻すれば公共サービスが受けられなくなるので、結局は国民が肩代わりして社会を維持するしかない。

債務残高が増え続けているにもかかわらず、国の支出が削減どころか増え続けている主たる理由は高齢福祉費の増大である。もし国の支出を大幅に削減した場合、これまで国が債務を増やしながら担っていたその経済的負担を、今度はそれぞれの家庭が負うことになる。

そういう意味で国と国民は表裏一体の関係である。

そして、将来的な大幅な増税、もしくは自己責任という大義名分の基に行われる福祉サービスの大幅カットがいずれ実施されることを多くの国民は予想している。それが言い知れぬ閉塞感にもつながっている。

となると、自己責任で自力で生きていくには貯蓄を増やす必要があり、コストがかかる子供は諦めるしかなくなる。それが賢い家族計画ということになる。

つまり、債務残高が大きくなればなるほど、その大きさに見合った自己防衛対策をせざるを得ず、そのための自己防衛策の一環としての子どもの数を制限するという行為が、少子化につながっている。そしてその少子化が将来の担い手を少なくし、ますます国の債務を増やしてしまうという悪循環に陥っている。

このままでは、今日の延長線上に未来がないかも知れない。

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