地方から転出する若年層。そしてもう戻れない現実。
- dad-k1
- 2017年6月5日
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2040年までに、全国の自治体の約半数(896/1799)が「消滅可能性都市」となる。
消滅可能性都市とは、若年女性(20歳~39歳)の数が半減する自治体のことを指しており、2014年に元総務大臣らがつくる民間研究団体が発表した概念である。
なぜ若年女性かというと、約95%の子供はこの層から生まれているからだ。(消滅可能性都市の定義を若年女性に限定したため、男女差別だとか、女性は子どもを産む機械ではないという批判を受けた。ただ現実的に女性しか子供を産めないので、少子化に直接影響を及ぼす属性として若年女性としているのだろう。)
実際に自分の地元や知り合いが住んでいる地域がどれくらい若年女性が減るのか、日経新聞社がビジュアル的に分かりやすいサイトを作成しているので、現実を直視して欲しい。
http://www.nikkei.com/edit/interactive/population2014/map.html
2040年は遠いようでそんなに遠い未来ではない。今日生まれた赤ちゃんが社会人になる頃の話だ。その頃には半数の自治体が担い手不足により、消滅の危機に瀕しているという推測。
もっとも若年女性が半減したところで地域そのものが無くなるわけではないが、若年女性の減少は少子化を加速させ将来の担い手減少につながる。地域を支える担い手がいなくなると、その地域での生活が困難となる。
そのために、恐らくほとんどの自治体は更なる合併を余儀なくされ、そのせいでその地域の中心部以外はまともな行政サービスは受けられなくなるだろう。もちろん極端に人口が減少した地区では、商業施設も撤退し、中心部以外はほぼなくなる。
そもそもなぜ半数に及ぶ自治体が、消滅可能性都市となってしまうのだろうか。
その原因は、少子化だけではない。若年層の地方からの転出も大きな原因となっている。進学や就職のために、地方に住む多くの女性は高校を卒業すると同時に都会(特に東京)に出て行く。これほどITが日常に溶け込んで、ネットで買い物できるようになり、東京と地方の買い物格差はほとんど無くなったはずだが、進学や希望する職、刺激を求めるために若年層は未だに東京を目指す。
東京は生涯未婚率が高く、また子育て環境が悪いので、出生率がずば抜けて悪い。そのため若年層が東京へ集中すればするほど出生数が減少する。
都市部への集中は世界中で起こっていることだが、日本の場合は世界的にみても異常なくらいに東京に人口が集中している。東京への一極集中問題は昔から言われているが、居住地の自由があるのでなかなか是正できていない。
最近は移住がにわかにブームになっているが、それは定年退職をした高齢者が第二の人生をスタートさせるケースがほとんどだ。若年層が積極的に移住しているという話はあまり聞かない。
実は、若年層、特に実際に子育てを始めた人々のなかには、実家の近くに移住したいと思っている場合も多いのだが、移住するには職を得なければならない。だが、人材の流動性が低く転職はそれほど一般的ではないので、戻りたくても戻れない。
消滅可能性都市となっている自治体は、のんびりと地域機能停止を待ち構えている場合ではない。
単なる返礼品狙いになってしまったふるさと納税に力を入れることよりも、若年層移住希望者をスムーズに移住できるようなサポートする体制を整えることに、もっと本気で取り組む必要がある。
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