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がんばり過ぎる結果、経済が停滞するジレンマ

  • 執筆者の写真: dad-k1
    dad-k1
  • 2017年6月21日
  • 読了時間: 3分

「がんばったね!」

日本人は小さいときからその言葉に親しんでいる。かけっこで一等賞になったときも大好きな親からそう声を掛けられただろうし、応援の掛け声も「がんばれ」だ。がんばることは日本人のアイデンティティといっても過言ではない。だが、問題はがんばり過ぎる気質がある点だ。

がんばり過ぎる気質は意外なことに、薬物犯罪にも表れている。日本では覚せい剤での薬物犯罪が多いが、それは日本人のがんばり過ぎる気質に合っているからだと言われている。覚せい剤はその名のとおり、脳内を覚醒させるので、がんばる人がもっとがんばれるようになる種類の薬物だ。

(強度はまるで異なるが)カフェインにも同じような覚醒作用があるので、がんばる日本人は疲れや眠気を感じても休もうとはしないで、コーヒーでごまかす事を選択する。

日本人が、がんばることを美徳とするのは今に始まったことではない。この国の歴史を振り返ると江戸時代から明治期に移行した際に、欧米諸国との圧倒的な差を埋めるためにとにかく全力で取り組む必要があった。

今と同様に時間を惜しんで働くとことが当たり前であったが、それでも明治期~戦前まで少子化にならなかった。その理由は、現代社会の制度が異なっていたからだ。家長制度によるお見合い結婚が主流であり、家電製品が無く女性が家事を担っていたので、男女ともにパートナーがいることが合理的であった。

また年金・介護制度もなかったために、老後の面倒をみてもらためには子をたくさん設けた方がよかったし、畑仕事や家事を手伝わせることもできたので、子どもは子宝として社会から必要とされ、少子化とは無縁であった。

戦後になってからも、焼け野原から復興するために日本人が一丸となって、寝る間も惜しんで働いた。、日本人のがんばる気質が、時代にうまくフィットし、奇跡の復興を成し遂げた。

一方で、少しずつ家電製品が普及し、昔ほど家事に時間を取られなくなっていった。そのおかげで、女性は働くこともできるようになったし、男性も家事をこなせるとようになった。年金・介護制度もできたために、老後も子どもに看てもらうことは、以前に比べて格段に減った。

そうして、長時間労働はそのままに制度やライフスタイルだけが変化したことによって、結婚や子を設ける必然性が薄れ、一気に少子化が進んだ。

今さら家長制度に戻し、年金・介護制度を無くすわけにもいかないだろうから、出来ることは子育てしたいと思うような経済的支援と、長時間労働を止めて恋愛する時間や子育てする時間を設けることだ。

しかし、社会は変わることなく、がんばればがんばるほど、少子化が加速し、人口が減り、将来的な不安が増え、消費を控えるようになり経済は停滞した。

がんばることも、もちろん大事なことだ。過去の偉人は努力を惜しまずにやった結果、偉業をんし遂げている。かつての日本も近代化に成功し、戦後復興も成し遂げた。今でも、国際競争にに打ち勝つためには、がんばることも必要だ。

ただし、がんばり過ぎることで、やがては社会が崩壊し、国が無くなってしまうほどに人口減少が深刻になると話は違ってくる。生産性低下の原因となっている慢性的な長時間労働をがんばるのではなく、お付き合い残業を止めて、メリハリをつけた労働が求められている。

そろそろ社会が危機感を持って、ただ長時間でがむしゃらにがんばるのではなく、冷静に力を入れるべきことを見定めて、持続可能な状況にすることに対して、力を注がなければならない。

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