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学校では教えられなかった「卵子の老化」


「 産みたいのに産めない ~卵子老化の衝撃~ 」

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3158/1.html 

2012年にNHKクローズアップ現代+が放送され、初めて卵子老化の事実を知ったものも多いだろう。

高齢出産が増えて40前後で子どもを産むことが身近になっている。53歳で産んだ有名人などもおり、いくつになっても産めるような気になるが、現実は異なる。

卵子老化については、不妊治療を行っている夫婦の間では常識となっているが、一般の人に

は馴染みがない。そのため、30歳くらいで結婚して、しばらくは仕事に専念するため子どもがいない生活を望み、35歳くらいからそろそろ子どもを考えだしたら、既に不妊になっていたということはよくある話だ。

そして不妊治療の説明会で初めて卵子の老化についての事実を知る。わがままで仕事を優先させたわけではなく、純粋に知らなかったのだ。なぜそれまで知らなかったのかというと、年齢の話、性の話はデリケートな問題であり世間ではタブーとなっているので、知っていても教える者はほとんどいないからだ。

学校でも性教育は行うが、ほとんどは男女の体の仕組みや、避妊についての事ばかりだ。確かに思春期の学生に、卵子老化の話をしたところで、遠すぎる未来の話に聞こえて実感が沸かないだろう(実際は遠い未来ではなく案外早くその時がくるのだが)。そして学校教育で教えられなかった場合、自分で調べない限りはその知識を得る機会はない。

成人式のように集まる機会が30歳くらいにあれば、その場で知識を提供することも可能だろうが、三十路式は存在しない。国や自治体が30歳を対象に冊子を郵送することもできるだろうが、既に不妊に悩んでいる人や、婚活市場への影響もあるので、人権的な配慮のため実施しないだろう。

そうやって、卵子老化については、一般的に知られる機会がなく、2012年を迎えた。何かと批判されることが多いNHKだが、社会問題化する不妊について一石を投じたことは、とても意義深い。この番組を見た若いカップルなどはとても参考になったであろう。

ただ残念なことに放送から数年たった今では、番組の記憶は薄れ、再び一般の人が卵子老化の事実を知らないという状況になっている。

少子高齢化による人口減少は、社会の持続的運営を困難にする国として大きな問題であるので、まずは学校教育で知識を提供することが重要だ。10代の場合は卵子老化とは無縁だろうが知識として得ておいて損はない。卵子老化年齢に該当しないので人権侵害にもならない。

ただし、不妊の原因は年齢だけではないので、若いからすぐ子どもを授かれると過信はしないほうがよい。確率的に若いほど授かりやすいのは事実だが、個人差もある。

いずれにせよ、不妊治療はお金のかかることなので、助成金など経済的支援ももちろん重要だが、そもそも金銭的にも、身体的にも負担が掛かる不妊治療を必要となる前に、一定の知識を得ることが望ましい。

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