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独身税の是非について

  • 執筆者の写真: dad-k1
    dad-k1
  • 2017年6月13日
  • 読了時間: 3分

「独身税」

かつてブルガリアで実際に存在した税金だ。その導入の背景には労働者不足があったためなのだが、この国でも時折導入の是非をめぐって話題になることもある。しかし、実際に導入していたブルガリアであるが、わずか21年間で廃止になった。その原因は出生率が上がるどころか、導入前よりも下がってしまったというお粗末な結果に終わったことだ。

なぜそのような結果になったかというと、10%近くの高い税率であったため、独身者が結婚するための資金を貯蓄できなくなったせいと言われている。政府の思惑とは真逆の本末転倒の結果になってしまった。

結果は抜きにしても、独身税の導入は様々な問題を引き起こす。税金逃れのために偽装結婚を誘発してしまうだろうし、結婚の意志があるにもかかわらず、相手がいない場合は徴収され続ける。人は生まれながらにして不公平であるで、イケメンや美女に生まれた場合とそうでない場合とでの結婚のチャンスの度合いははるかに異なる。

また、結婚を強制することにもなり兼ねず、不自由で窮屈な世の中になる。そのような社会は誰も望んでいないだろう。

しかし、独身税という言葉が出てくるほど、この国の少子化はひどく進行してしまっている。独身税は確かに、差別や偽造結婚の温床になってしまうので、導入は無意味なのだが、子持ち世帯とそうでない世帯(独身や子なし世帯)との不公平感は是正される面はある。

現在では養育費や教育費、世帯人数増加に伴う住居費については、基本的にはその家庭が負担する。児童手当や、扶養手当、義務教育での授業料や医療費助成などの国や自治体からの援助はあるのだが、家庭で賄う支出の方がはるかに多い。

その結果、今後は益々頼れなくなるであろう年金制度を補填するために必要な老後資金を十分に貯められずに、老後破産をする者もいるだろう。本来ならば、子にかけた資金は、老後に仕送りなどで回収できるのはずだが、年金制度があるために仕送りではなく掛金として徴収され、高齢者に平等に分配される。年金は子どもの養育費や教育費を負担の実績に有無にかかわらず均一に計算された額が支給される。

言ってみれば、金銭的な面では、子育てした方が損ということになる(もちろん子育てにおけるプライスレスな部分はたくさんある)。極端な言い方かも知れないが、独身者や子なし世帯は、将来を支える人材のために資金を使わずに、なおかつ将来世代から年金を受け取れるフリーライダー(ただ乗り)と言うこともできるだろう。

独身税は問題が多すぎるので論外なのだが、子あり世帯とそうでない世帯との間の金銭的不公平感は残ったままであるので、それは別の方法で是正する必要がある。

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