未婚率も出生率もトップクラスの沖縄県の謎
- dad-k1
- 2017年5月21日
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出生率が低い理由は、結婚率が低いからだ。
一見するともっとな意見に聞こえるが、実はその因果関係を真っ向から否定する事実がある。沖縄県の場合は、出生率と結婚率が比例していない。
出生率が最も多いのは沖縄県というのは有名な話。しかし、生涯未婚率についても沖縄県はと全国トップクラスだ。2015年に行った国勢調査の結果では沖縄県の結果は
男性未婚率 26.20%
(全国1位。全国平均は23.37%)
女性未婚率 16.36%
(全国5位。全国平均は14.06%)
となっている。
未婚といえば大都市東京というイメージがあるが、実は南国沖縄でも高い。東京の場合は価値観の多様化や高学歴化による機会損失などが未婚率を上げているのだろうが、沖縄の場合はやはり非正規労働者の増加が挙げられる。失業率も全国トップとなっているので、やはり雇用環境はよくない。一人当たりの県民所得も全国最下位となっている。
しかし、その雇用環境の悪さからくる未婚率の多い沖縄県であるが、なぜか出生率が高い。さぞかし育児サービスが整っているのかと思いきや、そうとも言えない。例えば沖縄県の待機児童率は東京都よりも高く全国1位と言われている。育児休業制度についても沖縄の半数の企業が就業規則に制度がない状況だ。
未婚率は多い、離婚率は高い、失業率は高い、県民所得も低い、待機児童は多い、育児休業制度も充実していない、それでも出生率は全国トップ。
2015年の出生率の結果は1.94(全国平均は1.46)、2位の島根県は1.80程度なので、もはや独走状態である。政府は出生率目標を1.8まで引き上げることを目標としているので、沖縄(と島根)は既に達成している。
なぜこれほど出生率が高いのだろうか。それは沖縄特有の地域性と言われている。考えられる要因は
1.共助が機能している
2.子だくさんの文化が根付いている
3.長男を望むため、結果として多産になる
4.教育コストが低い
5.リダンダンシー(緩さ)
少し詳しくみると
1.育児サービス(公助)が受けられなくても、実家が近いので親が助けてくれる(共助)割合が他の地域によりも多いことが考えられる。沖縄の場合は進学などでいったん島から出ても地元に戻ってくる場合が多い。そのため親や親戚の近くに住む傾向があり、それが子供を設けた際に共助として機能する。
2.周りが子だくさんなため、それに影響を受けていると推測される。人間は知らないうちに周りの環境から影響を受けている。子だくさんが文化として根付いている場合は、それが当たり前だと思う傾向にある。
3.よくも悪くも沖縄には古くからの習慣が残っている。血縁や地域との関係が強く、家は長男が継ぐものという意識が根強く残っている。そのために長男が誕生するまで子供の数を制限しない傾向にあることが多子に繋がっている。
4.地元指向が強いために地元での就労を望んでいる。しかし、地元には高学歴でなければ就けない職業は限られており、そのため教育投資のリターンが少ない。よってコストを抑える傾向にある。
5.子どもは公共の場でも騒いだり走ったりするものだが、その行為に対する寛容さが沖縄の気質とマッチしているため。つまり沖縄特有の緩さが子どもとの親和性を生み、子育てしやすい環境となっている。
逆に未婚率、離婚率、失業率、県民所得、待機児童問題、育児休業取得率、そのどれもが全国最低レベルにもかかわらず、上記の理由がそれを上回ることで高出生率を保っている沖縄県。
そこに少子化対策のヒントが隠されている。
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