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ワンオペ育児の限界

  • 執筆者の写真: dad-k1
    dad-k1
  • 2017年4月22日
  • 読了時間: 3分

ある外食チェーン店の深夜の時間帯に、全ての業務をひとりでこなし、休憩どころかトイレにすら行けない過酷な労働の実態が話題となった。その業務形態のことを「ワンオペ(ワン・オペレーション)」と呼んでいた。

最近では育児についてもワンオペという言葉が使われだしている。核家族化が進み、祖父母が近隣に住んでいない環境で、父親の遅い帰宅により母親が全ての育児を引き受けることとなっている現状のことを指している。さらに、増加している経済的理由による共働き世帯では、働きながら、家事や育児をこなさなければならない。

実際に経験があるひとは分かるだろうが、育児は見た目よりも負担が大きい。赤ちゃんのときは夜中に何度も起こされ、母乳やミルクを与えて、ゲップをさせて、オムツを替え、立ちながらの抱っこでゆらゆらさせながら寝かしつけなければならない。

保育園・幼稚園に行けば送り迎え(最近ではその前に熾烈な入園活動をしなければならない)、小学生になれば宿題を見たりPTA活動や参観があったりして、とにかく時間が足りない。それをひとりでこなさなければならない現状をどれだけの人が理解しているのだろうか。

自由意志によって産んだのだから、自己責任だという主張もあるだろうが、誰かが産まなければ社会が成り立たない。それを自己責任と呼んでしまえば、日本社会は崩壊し、日本人は絶滅する。それくらい子どもを産み育てることは社会にとって、この国にとって重要なことだ。

昔は核家族ではなく、大家族だった。今でも地方では祖父母と一緒、もしくは近所に暮らすひとも多いだろう。その場合は、祖父母の手助けも期待できるために負担は軽減される。それが出生率にも反映されている。もちろん、苛酷な育児環境が、即、少子化と結びつくわけではないが、主要な理由にはなっている。

家事については家電製品の改良により、幾分は楽にこなせるようにはなっている。共働き世帯に三種の神器と言われているのが「乾燥機つき洗濯機」、「食器洗浄機」「掃除用ロボット」である。その三つとも家事の時短を目的としており、高額にもかかわらず売れているようだ。

当然だが、それでも家事時間はゼロにはならない。女性が一日に5時間家事を行うのに対して、男性は1時間がしかやっていない。専業主婦世帯も含んでの数字なので、差が大きく見えるが、フルタイム共働き世帯でも家事分担の男女格差は大きい。

一日は24時間と決まっている。その中で、仕事の時間、家事の時間、育児の時間を母親に全て押し付け、休息の時間が十分にとれないようでは、次子は生まれないし、少子化は解消しない。

持続的な社会の実現のために、その母親の負担を、家族や社会が引き受ける体制や常識を再構築しなければ、未来はない。

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