出生率が2.00になるとどうなるか
- dad-k1
- 2017年5月15日
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人口を維持するために必要な出生率は2.08と言われている。
父親と母親、2人の大人から約2人の子供が生まれれば人口は維持される。2.00ではなく2.08となっているのは、事故や病気などで不幸にも命が途絶える子どもが一定数存在するためだ。
けれど、現在の人口を維持するためには出生率が2.00だろうが2.08だろうが、実は全然足りない。大人2人で子供が2人なら人口は変わらないように思えるがなぜ足りないのか。
なぜなら妊娠適齢期の世代は既に減っており、その少ない世代が出生率2.08を維持しても当分の間は人口は減り続ける。
出生率が仮に2.00に向上した場合に、どのくらい人口が減少しつづけるかについては国立社会保障・人口問題研究所が推計を行っている。その結果によると
2015年 約1億2700万人
(国勢調査確定値)
2065年 約1億 800万人
(中位推計では 約8800万人)
2115年 約1億人
(中位推計では 約5000万人)
となり、かろうじて1億人は維持される。だが1億人という数字に特別な意味はない。重要なのは出生率が2.00に上昇したとしても50年間で約1900万人の人口が減ってしまうということだ。100年間では2700万人の日本人がいなくなる。現在の東京都の人口が約1300万人なので、その倍以上の人口が減少するということになる。
だが、よく見ると2015年~2065年の50年間と、2065年~2115年の50年間では減少率が異なる。最初の50年は約15%も減少しているが、次の50年は約8%の減少にとどまる。つまり、出生率の上昇してもすぐに人口減少が解決するわけではないが、徐々に効果が表れることを示している。
カッコには現在試算されている中位推計も示した。中位推計の詳しい説明は割愛するが、現在の出生率1.44がほとんど変わらないケースだと考えてほしい。100年後には出生率が2.00の場合に比べて人口が半減している(1億人⇒5000万人)。長期的にみれば出生率がいかに人口に対して影響を与えるかがよくわかる。
次は、老年人口比率(65歳~)を見てみたい。出生率が2.0の場合では
2015年 26.6%
(国勢調査確定値)
2048年 33.9%
(中位推計では 37.4%)
2065年 31.3%
(中位推計では 38.4%)
2115年 27.9%
(中位推計では 39.4% ただし出生率1.40で試算)
出生率が2.00の場合でも2048年では上昇しつけるが、そこをピークに今度は老年人口比率が減り始め、社会が若返りを図っている。一方で中位推計では老年人口比率は上昇を続け、日本社会が老化していく。
人口減少は、1.高齢化を伴うこと 2.急激であること の2点を伴うときに初めて問題となる。仮に今年から出生率が2.00に向上したとしても、しばらくは高齢化比率は高まり続け、急激な人口減少は止まらない。だが時間はかかるが、やがてはそのどちらも改善に向かう。
出生率が2.00になれば劇的に少子高齢化に伴う人口減少問題が解決するわけではないが、何も対策を講じなければ取り返しのつかない結果が待ち受けている。
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